2020,04,29, Wednesday
面白い一冊です。今年3月31日に第1刷が出て、第2刷が4月20日に出ています。つまり売れている、読まれている、そして実に素早いコロナ本の一冊です。2019年12月8日、中国湖北省武漢市で最初の感染者が確認された。それから約1ヶ月後の2020年1月11日には、まだ中国で41人の感染者が確認されただけだったが、約2ヶ月後の3月10日時点で、世界中の感染者は11万4,219人、死者4,024人にも及んでいる。
そしてこの小欄を書いている4月27日の前日集計で、国内感染者1万3,424人、死者372人に上っている。米国感染者93万9,249人、死者5万3,934人(死亡率5.7%)、スペインの感染者20万7,634人、死者2万3,190人(11.2%)、次にイタリア・ドイツ・英国・フランスと続く。ドイツは感染者数はワースト4位だが、死者数は5,667人(死亡率3.6%)と欧米では格段に低い。日本は、2.8%の死亡率であります。 間違いないことは、トランプ大統領と習近平国家主席の米中貿易戦争さなかの、新型コロナウィルスの感染拡大が進行中であることだ。多岐に渡り書かれている内容だけに一口で説明は出来ないが、中国共産党の一党独裁を潰そうとするトランプ大統領(トランプ個人ではなく共和党の政策であり議会の承認事項)の政策が、新型コロナウィルスでどう転ぶか、検証がなされている。 習近平政権は、中国からヨーロッパ、アフリカまでを陸路や海路で結ぶ「一帯一路構想」をぶちあげ、沿線国に対してインフラ建設への支援を持ちかけてきた。しかしその実態は、「支援」といいながら高い利率で融資を行い、その国が返済不能になれば、建設したインフラの使用権を中国が奪うという「サラ金」的手法を展開している。 例えば、スリランカのハンバントタ港などは、中国からの融資を返済できないため、インフラの99年にわたる使用権を中国側に渡すことになり、地元住民の反発を招いている。ちなみに中国のインフラ支援モデルは、中国政府や国営企業が融資するモノの、建設も中国企業が請負、人員を中国から派遣するため、その国では雇用も生まれない。しかも中国人が急増することで、現地住民との文化摩擦が起こることも少なくない。 私が3年前、パブアニューギニアのオイスカラバウルエコテック研修センター30年記念式典で行ったおり、現地の日本大使館員も同じようなことを言っていた。資材も中国から持って来て、仮に10億円の支援金が来ても、9億円を回収して帰り、2年後の雨漏れは誰も直せないと言う。それでいて、10億円の恩を売って、「YESマシーン」に新興国を追い込む。国際機構のトップは、新興国から選ばれることが多い。WHOのテドロス事務局長に限らず、中国の意向が色濃く繁栄するはずだ。 2020年は、グローバリズムが完全に終焉した年として歴史に刻まれるのではないか。一つは1月31日のイギリスのEU(ヨーロッパ連合)離脱(ブレクジット)、もう一つはこの新型コロナウィルスである。ちなみに、「グローバリズム」とは、ヒト・モノ・カネが世界各地を自由に行き来する状態を指す。中国は、米ソ冷戦後から始まったグローバリズムの恩恵を受けて急成長したのであった。 現在ではビザなし渡航などが進み、2008年の訪日中国人は約100万人だったが、2019年には959万4400人と、9倍以上に膨らんでいる。今年の中国春節に、のべ30億人の中国人が帰省や海外旅行で国の内外を大移動した。この時期と新型コロナウィルスの流行時期が重なったため、中国でも海外でも加速度的に感染が広がったのだ。 折からの米中貿易戦争に加え、新型コロナウィルスの感染拡大による世界経済の悪化と、世界のサプライチェーンから中国を切り離す動きが加速している。歴史に学ぶとすれば2002年11月16日、やはり中国広東省で最初に発生し世界32の国・地域で感染者8,098人、死者774人を出したSARS(中国広東省を起源とした重症急性呼吸器症候群)では、中国政府は事実解明の妨害と情報隠蔽を繰り返したため、世界的な批判を浴びたが、その体質は一向に変わっていない。 本書では触れられていないのだが、台湾はこのSARS(サーズ)から感染症対策を学び、今回の新型コロナウィルスの感染拡大防止に役立てている。また韓国はMERS(中東呼吸器症候群(MERS)平成24年9月以降、サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している重症呼吸器感染症)の感染経験から学び、今度の新型コロナウィルスの感染拡大を徹底的に封じ込めている。 紙幅の関係で、クロージングに入りますが、新型コロナウィルスが日本に与える今後の影響はどうなるのか。ここからが肝であります。2020年2月17日、内閣府は2019年10~12月期のGDP速報値を発表した。これは消費税増税の影響を計るうえで重要な数字であるが、結果は年率換算でマイナス6.3%と、5四半期ぶりのマイナスとなった。電子決済によるポイント還元措置などがとられたが、その効果は限定的だったことが明らかになった。 日本経済は、デフレのさなか。デフレの要因はさまざまだが、デフレ脱却には製造業の国内回帰と、賃金の引き上げが重要である。安易に外国人労働者を受け入れるのではなく、高付加価値の商品を日本人が作ることが重要である。新型コロナウィルスは、国際的なサプライチェーンを大きく変えようとしている。 日本はこの機を利用し、国内への生産回帰と安全保障を考えた組み替えが必要であり、これを政府主導で行う必要がある。インフラや生活必需物資の国内生産の拡大、これこそが日本の新たな成長戦略であるといえる。安倍晋三首相も「新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、中国等から日本への供給停止によるわが国サプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国依存度が高い製品で、付加価値が高い製品については、わが国への生産拠点の回帰を図る必要がある」と述べている。 日本全国の緊急事態である新型コロナウィルスは、新しい日本のシステムをつくるための契機となるかもしれない。平常時であれば、中国からの撤退は、課せられる重税や設備等の放棄等過大なモノであるが、この機であれば世界から中国への批判の目が注がれている。逆に言えば、危機をチャンスに変える機会とすべきなのだ。 |
2020,04,28, Tuesday
弊社従業員のT女史に、「坊ちゃんはどうしてる」と聞いてみた。大学へ進学したというので、僅かな祝金を差し上げた。すると、丁寧な手紙を頂いた。またその内容に、思わずウルっと来た。がんらい涙腺が緩い方で、いい年して恥ずかしいのだが、これも体質です。体管理と言うほどでもないのですが、毎朝体温と血圧を測っています。夜には体重測定ですが、3食自宅で、自分で決めた限界体重を超え気味です。
新型コロナウィルスの感染拡大で、親元離れて勉学に励む大学生が苦境に立たされていると聞いた。学費や生活費に充てていたアルバイトの収入がなくなり、学業継続への不安から、「退学」を選択せざるを得ない学生が出現し始めていると聞く。「坊ちゃん(A君とする)は」と聞くと、今は上京せず自宅でパソコン通信講義を受けているという。前期はこのままの状態で、終わるようだ。当然前期試験も、通信になるだろう。 それでも入学金と、前期授業料や何やらで、百万円近いお金を大学へ支払ったという。このA君の場合は、まだ在宅だから賃料や食事代も削減できているが、大学4年生の長兄が都内であえいでいるとT女史も今後を心配している。高松でも、飲食店でアルバイトしている学生さんは多い。こちらも今は、賄い食にもありつけず大変苦労していると思う。 一方で学費減額や経済的な支援を、政府や大学側に強く求める動きも出始めた。新聞では収入が2~3万円、春休みなどの長期休暇は月7~8万円で、生活費に充てていたという学生さんが紹介されている。先行きが見通せないが、「今は切り詰めて生活するしかない」というコメントを出している。日本全国津々浦々、こうして大学生活を送る学生が圧倒的だと思う。 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の4月調査では、アルバイトがなくなり「このままでは学費が足りなくなる」「父親の自営業の売上が8割減った。大学を辞めざるを得ないのか不安」といった声が寄せられた。回答した約500人のうち、約8%は退学も検討しているという。別の報道では、13人に1人の割合とも書かれていた。よく似た、悪い数字であります。 自分の学生時代を思い返しても、アルバイトはありがたいものだった。私は職場体験も兼ねて、30種ぐらいのバイトをした。今の時代、「飲食業は学生さんに嫌われている」と聞いているが、そうは言っても周辺でも多い。政府の方針として、「テナント料」つまり事業用の家賃は猶予や免除したら税金控除になるが、居住用の家賃にも救済がほしい。もう一つ大学側も、正規の授業が出来ないのなら授業料の減額にも取り組むべきだろう。 |
2020,04,27, Monday
長崎市に停泊中のイタリア船籍「コスタアトランチカ」の乗員に、新型コロナウィルス感染が拡大している問題で、長崎県は25日、全乗員623人の検査を終え、計148人の感染を確認したと発表した。すでに陽性が判明した91人に加え、同日新たに57人の感染を確認。20日に感染が初めて感染されてから、急増であります。検査数を増やすしか、現状把握は出来ないと思う。対策も間違える。
厚生労働省クラスター(感染者集団)対策班の鈴木基医師は25日、「乗員は全員、個室隔離されている。これ以上感染が広がることはない」と指摘しているが、素人の私は客船内では空気感染が起きていると考えている。ホテルでもそうだが、客室内では全館一斉エアコンの使用は、感染を広げると思う。幸いこれから先は、エアコンなしでも暫くは過ごせる。 ところで長崎市に停泊中の、イタリア船籍「コスタアトランチカ」の乗員600人超の新型コロナウィルス検査では、長崎大が民間企業と共同開発した「蛍光LAMP法」が導入されたという。4時間程度かかるPCR検査と比べ、検体からウィルス遺伝子を抽出する前処理を含めても40分以内と、蛍光LANP法の検査時間が大幅に短縮できている。 短時間検査は、その件数を増やすと同時に、入国検査や手術前検査など、時間との闘いとなっている現場の救世主となる。新型コロナウィルスの検査で、PCR検査以外の方法があるのは漏れ聞いていますが、医大が開発した検査方法もこの際、多用したら良いのではないでしょうか。 長崎県などは船内での感染拡大を防ぐため、全乗員623人の感染状況を確認する必要があると判断。ただ長崎県の一日のPCR検査能力は140件しかなく、長崎大の協力を仰ぎ、PCR検査を行った4人以外の全乗員の検査を、蛍光LANP法を使って5日間で終わらせた。蛍光LANP法は「行政検査」として公費負担で行われ、保険適用もあるため、医療現場での幅広い活用が期待できる。 医療崩壊を何としても防ぐ意味では、軽症者・無症状者は管理がされているホテルで隔離するのも良いと思うが、いずれにしても検査だけはいずれの方法でも、民間を活用してでも早く大量検査を願うモノであります。韓国の検査方法も、良いモノは意地を張らずに活用したらどうだろうか。長崎大学万歳。 |
2020,04,26, Sunday
国土交通省は令和2年4月17日付けで、各不動産関連団体の長宛に、国土交通省土地・建設産業局不動産業課長と不動産市場整備課長の連名で、新型コロナウイルス感染症に係る対応について通達を出し、大家さんが賃料の支払いに困難なテナントに賃料を減免した際、その分を税務上の損金として計上できることにすると発表しました。内容を、以下に掲載します。
先般、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~」(令和2年4月7日閣議決定)がとりまとめられ、新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様に向けた各種支援策が盛り込まれたことを受け、令和2年4月9日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る対応について(補足)」により、賃貸事業者等の皆様に活用の可能性があると見込まれる制度等について、貴団体加盟の事業者に対する周知をお願いしたところです。 今般、詳細が詳らかになった制度等について、下記のとおりとりまとめましたので、改めて貴団体加盟の事業者に対し、周知頂きますよう、よろしくお願いいたします。なお、宅地建物取引業者におかれては、取引の相手方である賃貸事業者やテナント事業者に対しても、適宜、周知頂きますよう、よろしくお願いいたします。 記 1.テナントの賃料を免除した場合の損失の税務上の損金算入について【既に実施中】 (1)法人・個人が、新型コロナウイルス感染症の影響により賃料の支払いが困難となった取引先に対し、不動産を賃貸する所有者等が当該取引先の営業に被害が生じている間の賃料を減免した場合、次の条件を満たすような場合等には、その免除による損害の額は、寄附金に該当せず、税務上の損金として計上することが可能であることが明確化されました。 ① 取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること ② 実施する賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること ③ 賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること (2)また、取引先等に対して既に生じた賃料の減免(債権の免除等)を行う場合についても、同様に取り扱われます。 (3)なお、本取扱いを受ける場合、新型コロナウイルス感染症の影響により取引先に対して賃料を減免したことを証する書面の確認を税務署より求められる場合がありますので、別添様式を参考とする書面等を作成の上、保存しておく必要があります。 一部通達のまま掲載しています。すでに小欄でも紹介したとおり弊社へも、「家賃減免願い」が寄せられるようになっています。私も出来ることなら「天災」であることから、減額に応じるように説得していたところであります。それを国が、所得税計算の際に、税金から損出を控除する(具体的にどう計算するのか私は知らないが)と発表しています。 不動産業者はせめて、合意契約書ぐらいは無料で作成して、証拠として残すようにアドバイスして上げて下さい。われわれも、喜んで社会インフラ(基盤)の一つにならなければ。 |