徳島県鳴門市の『大塚国際美術館』で、展示されていた名作・『モナリザのほほ笑み』を観たときの感動と同じ質の驚きと、「やはり」と合点する自分のニンマリが混ざって、瀬戸内海の多島美にかかる『春霞み』を強調するような写真が展示されています。ここは高松市中野町の珈笛画廊・ほのほ、わざわざオーナーの二見尚子様から電話のお誘いを頂き、本日屋島組登山の後に立ち寄りました。
二ノ宮博之さんは1941(昭和16)年高松生まれの83歳。1963年明治大学商学部卒ですから、ひとまわりほど先輩になります。今日は作家在席と聞いて、ワクワクしながら駆けつけました。と言うのも今は解散しましたが、二ノ宮博之さんは1991(平成3)年9月(血気盛んな50歳)に全国13番目として開塾した『盛和塾香川』発会の、立て役者の1人と聞いていました。私は2007(平成19)年(55歳の時)、開塾から遅れること16年後に入塾しています。
また私の創業以来お世話になった猪子進さんが、商業デザインを生業とされていましたが、その作品の印刷は常に二ノ宮博之さんのアイニチ株式会社でした。私から見れば『雲の上の人』、直接お目にかかったことはありませんが、思い描く偉大な先輩でありました。前置きが少々長くなりましたが、その二ノ宮博之さんが『写画流展』を開催しています。
『写画流展』とは二ノ宮博之さんの造語で、主に『世界の宝石瀬戸内海』をCANONの一眼レフカメラで撮影した作品を『阿波手すき和紙』に焼き付けています。この工法を『写画流』と名付けています。普通なら光沢のある印画紙に焼き付けた作品に仕上がると思うのですが、二ノ宮博之さんはそれを敢えて凸凹の多い和紙に焼き付けるという印刷屋発想で、普通でない作風を醸し出しています。
印画紙には求めにくい淡い濃淡の色調を、瀬戸内海の風景を題材に実に精妙に仕上げています。先の『大塚国際美術館』の作品は、モナリザにしても本物のコピーを陶板に焼き付けています。勿論所蔵美術館の許諾と対価を支払って協力を得て撮影し、陶板に高温焼き付けをしています。百年経過して、本物が色あせても陶板のコピーは今のまま残ります。この手法も普通ではなく、『大塚流』であります。
私は大塚国際美術館の作品を絶賛していますが、「あれは偽物だ」という声はあるのも承知しています。大塚国際美術館(徳島県鳴門市)には、世界中の名画があります。現地へ出向いても見られない作品が、大塚国際美術館に収蔵されています。観覧料も5千円ぐらいして美術館でも高額ですが、本物と同じうり二つの作品が展示されています。
一方二ノ宮博之さんの作品は、通常テカテカの光沢のある大判印画紙に焼き付ける写真展の作品群と一線を画し、カメラアングルの見事さを『阿波手すき和紙』で証明しています。土産にもらった栗林公園と瀬戸内海の写真葉書を見ても、やはり展示作品の『阿波手すき和紙』とどこか違います。
瀬戸内海の『ひねもすのたりのたりかな』は、この手法でより際だって見えます。尊敬する二ノ宮博之さん作品だというのではなく、フランス・パリでも好評だった写画流展、これは大ブレークすると思います。作品展は21日まで、論より証拠、あなたの目で当たり前でない二ノ宮博之作品をご覧下さい。