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新型コロナ恐怖後の世界by渡邊哲也
面白い一冊です。今年3月31日に第1刷が出て、第2刷が4月20日に出ています。つまり売れている、読まれている、そして実に素早いコロナ本の一冊です。2019年12月8日、中国湖北省武漢市で最初の感染者が確認された。それから約1ヶ月後の2020年1月11日には、まだ中国で41人の感染者が確認されただけだったが、約2ヶ月後の3月10日時点で、世界中の感染者は11万4,219人、死者4,024人にも及んでいる。

そしてこの小欄を書いている4月27日の前日集計で、国内感染者1万3,424人、死者372人に上っている。米国感染者93万9,249人、死者5万3,934人(死亡率5.7%)、スペインの感染者20万7,634人、死者2万3,190人(11.2%)、次にイタリア・ドイツ・英国・フランスと続く。ドイツは感染者数はワースト4位だが、死者数は5,667人(死亡率3.6%)と欧米では格段に低い。日本は、2.8%の死亡率であります。

間違いないことは、トランプ大統領と習近平国家主席の米中貿易戦争さなかの、新型コロナウィルスの感染拡大が進行中であることだ。多岐に渡り書かれている内容だけに一口で説明は出来ないが、中国共産党の一党独裁を潰そうとするトランプ大統領(トランプ個人ではなく共和党の政策であり議会の承認事項)の政策が、新型コロナウィルスでどう転ぶか、検証がなされている。

習近平政権は、中国からヨーロッパ、アフリカまでを陸路や海路で結ぶ「一帯一路構想」をぶちあげ、沿線国に対してインフラ建設への支援を持ちかけてきた。しかしその実態は、「支援」といいながら高い利率で融資を行い、その国が返済不能になれば、建設したインフラの使用権を中国が奪うという「サラ金」的手法を展開している。

例えば、スリランカのハンバントタ港などは、中国からの融資を返済できないため、インフラの99年にわたる使用権を中国側に渡すことになり、地元住民の反発を招いている。ちなみに中国のインフラ支援モデルは、中国政府や国営企業が融資するモノの、建設も中国企業が請負、人員を中国から派遣するため、その国では雇用も生まれない。しかも中国人が急増することで、現地住民との文化摩擦が起こることも少なくない。

私が3年前、パブアニューギニアのオイスカラバウルエコテック研修センター30年記念式典で行ったおり、現地の日本大使館員も同じようなことを言っていた。資材も中国から持って来て、仮に10億円の支援金が来ても、9億円を回収して帰り、2年後の雨漏れは誰も直せないと言う。それでいて、10億円の恩を売って、「YESマシーン」に新興国を追い込む。国際機構のトップは、新興国から選ばれることが多い。WHOのテドロス事務局長に限らず、中国の意向が色濃く繁栄するはずだ。

2020年は、グローバリズムが完全に終焉した年として歴史に刻まれるのではないか。一つは1月31日のイギリスのEU(ヨーロッパ連合)離脱(ブレクジット)、もう一つはこの新型コロナウィルスである。ちなみに、「グローバリズム」とは、ヒト・モノ・カネが世界各地を自由に行き来する状態を指す。中国は、米ソ冷戦後から始まったグローバリズムの恩恵を受けて急成長したのであった。

現在ではビザなし渡航などが進み、2008年の訪日中国人は約100万人だったが、2019年には959万4400人と、9倍以上に膨らんでいる。今年の中国春節に、のべ30億人の中国人が帰省や海外旅行で国の内外を大移動した。この時期と新型コロナウィルスの流行時期が重なったため、中国でも海外でも加速度的に感染が広がったのだ。

折からの米中貿易戦争に加え、新型コロナウィルスの感染拡大による世界経済の悪化と、世界のサプライチェーンから中国を切り離す動きが加速している。歴史に学ぶとすれば2002年11月16日、やはり中国広東省で最初に発生し世界32の国・地域で感染者8,098人、死者774人を出したSARS(中国広東省を起源とした重症急性呼吸器症候群)では、中国政府は事実解明の妨害と情報隠蔽を繰り返したため、世界的な批判を浴びたが、その体質は一向に変わっていない。

本書では触れられていないのだが、台湾はこのSARS(サーズ)から感染症対策を学び、今回の新型コロナウィルスの感染拡大防止に役立てている。また韓国はMERS(中東呼吸器症候群(MERS)平成24年9月以降、サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している重症呼吸器感染症)の感染経験から学び、今度の新型コロナウィルスの感染拡大を徹底的に封じ込めている。

紙幅の関係で、クロージングに入りますが、新型コロナウィルスが日本に与える今後の影響はどうなるのか。ここからが肝であります。2020年2月17日、内閣府は2019年10~12月期のGDP速報値を発表した。これは消費税増税の影響を計るうえで重要な数字であるが、結果は年率換算でマイナス6.3%と、5四半期ぶりのマイナスとなった。電子決済によるポイント還元措置などがとられたが、その効果は限定的だったことが明らかになった。

日本経済は、デフレのさなか。デフレの要因はさまざまだが、デフレ脱却には製造業の国内回帰と、賃金の引き上げが重要である。安易に外国人労働者を受け入れるのではなく、高付加価値の商品を日本人が作ることが重要である。新型コロナウィルスは、国際的なサプライチェーンを大きく変えようとしている。

日本はこの機を利用し、国内への生産回帰と安全保障を考えた組み替えが必要であり、これを政府主導で行う必要がある。インフラや生活必需物資の国内生産の拡大、これこそが日本の新たな成長戦略であるといえる。安倍晋三首相も「新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、中国等から日本への供給停止によるわが国サプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国依存度が高い製品で、付加価値が高い製品については、わが国への生産拠点の回帰を図る必要がある」と述べている。

日本全国の緊急事態である新型コロナウィルスは、新しい日本のシステムをつくるための契機となるかもしれない。平常時であれば、中国からの撤退は、課せられる重税や設備等の放棄等過大なモノであるが、この機であれば世界から中国への批判の目が注がれている。逆に言えば、危機をチャンスに変える機会とすべきなのだ。



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| 社長日記 | 09:39 AM | comments (0) | trackback (0) |

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