ジャーナリストの蟹瀬誠一氏は、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年にTBS「報道特集」のニュースキャスターとして日本のテレビ報道界へ転身した、いわば異色の経歴の持ち主であります。それだけに、本の中身を大いに期待して購入してみました。最近は「お座敷」もかからなくて、実に暇な毎日を過ごしています。その分、本を読む時間も出来ます。
蟹瀬誠一氏は、1950(昭和25)年生まれですから、私とほぼ同年生であります。「悲観も、反省も、自制も必要なし!人生は第二幕の方が面白く、奥が深い。さあ、ゆっくり歩きだそう」と帯に書かれています。みずからは50歳からゴルフをはじめて、今ではシングルに近いところまでその才を開花させているようです。ここからの人脈も、流石です。
過去よりも未来の時間の方が短く感じられる60代になった今だからこそ、他人の視線やステレオタイプ思考から解放されて、本物の豊かさを探そうと決めた。高齢者になったからといって悲観する必要も、反省する必要も、自制する必要も全くない。濡れ落ち葉とか粗大ゴミだとか揶揄されようが、黄昏を迎えたあなたの心の中には、人生の達人「ネオシルバー男」になるための「驚くべき隠居力」がまだ眠っている。
また尽きることのない知的興奮は、年齢を重ねるほど深まり、やがて達人の域に達する。飛距離だけを自慢するだけで、ゲームの真髄を極めることに無頓着な若造たちには決して分かるまい。人生劇場は、第二幕が面白い。さあご同輩、定年後もワクワクする7つの選択と4つの行動習慣にトライしてみませんかと語りかけている。
このように幸せに生きる方法として、蟹瀬誠一氏は「7つの選択」をまず力説しています。
第1の選択 はやくより、ゆっくり
第2の選択 見えない首輪をはずす
第3の選択 定年退職しても住居を変えない(orマルチ・ハビテーション)
第4の選択 必要のないモノにカネを使う
第5の選択 食べたいものを食べる(飲みたいものを飲む=私が追加)
第6の選択 医者や子どもより、友人と会う
第7の選択 忙しい日課を続ける
さらに、「4つの行動習慣」の必要性を述べている。
第1の行動習慣 時間を自分でコントロールする
第2の行動習慣 かっこいい姿でいる
第3の行動習慣 100歳までボケない決意
(1)脳を元気にする科学的方法
・方法その1 運動する(毎日90分歩くか運動する・やっみたが続かない)
・方法その2 瞑想する(1日10分居眠りではなく瞑想)
・方法その3 知的刺激を続ける
・方法その4 十分睡眠をとる(1日7時間)
第4の行動習慣 ユーモアの感覚を磨く
高齢化社会というと、介護や年金問題、社会保障コストなど暗いニュースが多くなりがちだ。だが、年輩になっても、魅力を失わない人たちが世界中にはたくさんいる。89歳の時に「あなたは充実した人生を生きましたね」と言われた詩人のドロシー・ダンカンは、「過去形を使わないで!」と元気に切り返したという。こうした幸せで、生き生きとした定年後を生きている先輩に共通していることは、仕事から引退としたとしても、人生から決して引退していないということだ。なるほど。