正確には把握していませんが、20年ぐらい前に、社団法人香川宅建に『宅地建物取引業者賠償責任保険制度』が誕生しました。今では『宅地建物取引士賠償責任保険』が全国にあり、業者賠償責任保険もあろうかと思いますが、香川県で誕生した黎明期にはそれなりの苦労があったのです。私も宅建業者であり、当時東京海上保険の代理店をしていましたが、「およびでない」の門前払いが当たり前の時代でした。
その地獄の門が開いたきっかけとなったのは、2000(平成12)年3月12日に『香川県ファイナンシャルプランナー協同組合』に香川県知事から設立認可が降りて、活動を始めてからでありました。これからの時代、専門6分野(金融・保険・不動産・税金・相続・事業承継) に精通し、金融・投資が分からなければ士業の仕事の深掘りも出来ないという風潮がありました。FPは、一つの時代の先読みでありました。
今はこの組織も解散し、協同組合組織もNPO法人等に様変わりしていますが、この組織の副理事長の宮宇地覚(㈲保険ネットワークセンター)さんの、一方ならない尽力で保険が出来あがりました。当時は『三井住友火災海上保険』でした。当時業者責任賠償保険は、弁護士や税理士等の士業にはありましたが、宅建資格の『宅地建物取引主任者(現宅地建物取引士)』では組成できないというのが、保険業界の常識でした。
宅地建物取引業者(世に言う町の不動産屋)が、日本国内において、宅地建物取引の代理・媒介の遂行にあたり、義務違反があったとして、保険期間中に損害賠償請求された場合に被る損害について保険金が支払われます。これは正直なところ、ままあるのです。だから保険を作ってよと言っても、「宅地建物取引業者は信用できない(表向きそうは言いませんが)」として、保険がなかったのですが、それを『協同組合』が具体的には保険ネットワークセンターが全国に先駆けて組成したのです。
小欄でも何度か書きましたが6月末、小生72歳で松野不動産株式会社を退社し、合同会社松野不動産で残された人生を少しだけ役立つモノとして、小遣い稼ぎを続けたいと考え、『賠償保険加入』が必要だとして、宅建協会に相談しました。本体の松野不動産株式会社は当初より毎年契約していますが、合同会社は初めてです。来社したのは保険ネットワークセンターの社員さんですが、青森から転勤で高松に来たというのです。
宮宇地覚氏の努力で、代理店として全国展開をしています。新しい保険を組成する能力者は、有数の代理店ネットワークシステムを構築しています。業界には先に書いたように『業者保険』と『資格者保険』がありますが、資格者保険は保険料も安くて広く活用されていますが、実態としてトラブルになると訴えられるのは『宅建業者(社)』です。訴訟は、より金を持つモノを相手にします。
今日の小欄の目的は、その『宅地建物取引業者賠償責任保険制度』が進化している現状をお知らせしたいと思い、書いています。保険金請求権には3年という時効がありますが、保険契約前の事故に対しても保険金が支払われるという『遡及効』がついたことを強調したかったのです。保険業界で『遡及効』は、後出しジャンケンのようなモノですからあり得ないのです。しかし消費者保護の観点からは、良いことであります。
保険のスタート時点では公益社団法人香川県宅地建物取引業協会傘下の業者だけでしたが、今では全日不動産業社にも門戸が開かれています。産みの苦しみを身近で見ていた一人として、今も現存し進化している『宅地建物取引業者賠償責任保険』に私も加入しました。自らの安心と、お客様への信頼信用が一層担保されることになります。間違いは、起こりえるのです。ゴメンナサイでは、すまないケースもあり得ます。