何かの紹介だったか忘れたが、標題の一冊に辿り着いた。副題に『若さを維持する人、一気に衰える人の違い』と書かれています。現在の70代の日本人は、かつての70代とは全く違う。格段に若々しく、健康になった70代の10年間は、人生における『最後の活動期』になった。この時期の過ごし方が、その後、その人が如何に老いていくかを決めるようになったのだ。
70代に努力することで、要介護になる時期を出来るだけ遅らせ、晩年も若々しさを保つことが出来る。そんなうまいことが書かれている。ただ70代には、特有の脆弱さがあることも事実。無自覚に過ごしていれば、自然と老いは加速していく。そのため、老いを遠ざけようと意図的に生活することが求められる。チコちゃんが言うように、「ボーと生きてんじゃないよ」を医学面から警鐘を鳴らしている。
老いを遅らせる70代の生き方とは、いかなるモノか。30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わってきた著者が、その極意を説くという一冊。ある意味目から鱗のような、よくよく考えれば、『それはそうだろう』と納得する話しの缶詰。70代の男女の特性は、『男性ホルモン』にあるとか。閉経後男性ホルモンが増える女性は、一層元気になるのに対して、男性ホルモンが減少する男性は、一般的に元気がなくなるとか。
人生100年時代と言われて久しくなりましたが、日常生活にまったく制限なく生きていられる健康寿命の延びは、平均寿命の延びに追いついておらず、男女ともに75歳に届いていません。要するに、70代をうまく生きないと、長生きは出来てもよぼよぼとしたり、介護を受ける期間の長い高齢者になってしまうと言うことです。
気持ちが若く、いろいろなことを続けている人は、長い間若くいられる。栄養状態の良し悪しが、健康長寿でいられるかどうかを決める。食べ物の質も大切。印象に残ったのは、『もっとも長生きなのは、少々ふっくらとしたタイプの人』だと言うのです。私も毎日気にしているBMI(体重を身長の二乗で割った数値)が、25~29.9の人だそうです。私の今朝のBMIは、24.7でした。この本を読む前は、『アンダー25目標』としていました。目標が少し変わります。
第1章・健康長寿のカギは『70代』にあるに続き、第2章老いを遅らせる70代の生活の中に、「何事においても、引退などをしてはいけない」とか「働くことは、老化防止の最高の薬」、「運転免許は返納してはいけない」や「肉を食べる習慣が老いを遠ざける」から「70代の運動習慣の作り方」まで、珠玉のインデツクスがちりばめられている。散歩など、陽に当たりながら歩くことも、好循環をもたらす一つの手です。
第3章・知らないと寿命を縮める70代の医療との付き合い方では、注意すべき医師の言葉の中で、極端な言い方をすれば、医師の言うことも超真面目に聞くなと警告しています。つまり日本には、長生きを専門とする医師はいない。人間の身体全体を見て、どうすることが身体によくて、どうすれば身体に悪いのかを言ってくれる医師はほとんどいない、と喝破している。
私も過去に内臓器専門医からは週二日の休肝日を指示されたが、脳専門医は、休肝開けにガバガバ呑むから休肝は必要なし、毎日2合までと言われたりした。先述のように、人体の部分部分の専門家は大家までいるが、70代総合専門医は聞いたことがない。この本を読んで、確かにいまの70代の大坂を登る前に、読んでよかったと思う。これから70代という人はもちろん、いま70代の人も是非一読をお薦めします。長生きだけでなく、幸せに看取ること、そして楽しく死ぬことにもつながります。