先の定借全国連合会の総会に続いて、本日は定借の聖地とも言われる近畿定借での研修会でした。また聖地での事例発表は、楽しみでもあり驚きでもあります。塩見宙不動産鑑定士が長く会長を務められていて、特定非営利活動法人香川県定期借地借家権推進機構(略称NPO香川定借)へも、少なからずの影響をもたらしています。
会長挨拶の中でも、「不動産コンサルティング技能登録」が「公認不動産コンサルティングマスター」に名称変更がなされ、文字通り不動産関連業界の最高位に位置するイメージができあがっています。ここは「(上級)定借アドバイザー」の資格を付与しています。定借アドバイザーの地位の保全を図る意味でも、定借の普及実績作りは欠かせない要素です。
さて事例発表ですが、組織渉外理事速水英雄氏の全国定借事例報告と、自社が運営する「スターターマンション」の報告がありました。全国の報告の中には、一昨年の高松市春日町の定借現場9邸の紹介もありました。必ずしも大成功とは言えない結末になりましたが、一石を投じることは、出来たかなと考えています。
第二部の「定借コモン方式による真に豊かな暮らしの探求」では、講師小林孝明氏の「ビレッジガルテン」構想に聞き入りました。10の使命を解決するためのミッションとして、一つ一つの課題に対する現場の実情説明がなされています。地域貢献せよとか、地域コミュニティを再生せよとか互助の精神を養え等、10カ条の使命が実践されています。
これを一口に言うのは難しいのですが、「理想郷」(大きくはない規模ですが)を作っています。定期借地権現場ですから、土地はあくまでも50年間超の借地で、どんなことがあっても、土地の所有権が自分のものになることはありません。もっとも地主が後年、「相続の納税資金のために底地の売却をするので買ってくれませんか」と言われた時は、買取が出来ます。
要するに建物だけの売買ですが、その立地が「共用の庭」を中心とした、多様な緑地化の中にあるのです。われわれからすると建築確認の許可をどう取ったのかと悩む形状です。ここが大きなポイントです。周りは普通の団地だったりするのですが、この計画地の一角だけは森に近い庭です。
それを使って、具体的にはバーベキュウをしたり、アマチュア音楽会を開いたり、子供達の遊び場になったりしています。一坪菜園も大好評のようです。車は前で止めますから、自宅へは歩いてたどり着きます。この不便が、「面倒くさいを楽しめるか?」となっています。
定期借地物件は、土地代がいりませんから間違いなく安いのです。しかし資料にあるのですが、ここの購入者の平均所得は639万円(兵庫県尼崎等)、自己資金は699万円ですから、低所得者層が集まる集落でもなく、生活を楽しめる「賢者」の生活の場と言った現場風景です。近々現場へ行って、この目で確認してきます。