3年に一度、受講が義務づけられている建築士の法定講習。私も昭和62年に、建物の勉強の一環として当時はやっていた「木造建築士」を受験しました。私もいろいろな資格に挑戦しましたが、この試験が一番難しかったと言い切れるほどでした。実務経験もさることながら、学科試験はまだしも、製図は至難の業でした。
付近の同業者が、「建築士資格なくて建物を語るな」のような喧伝で、受験の雰囲気を煽っていました。その御仁は既に合格していて、後に続く若者(当時の)は大変だったのを、30年以上経過した今でもよく覚えています。本日の会場は、県文書館で駐車場の心配もいりません。第5回は、今年度最後の講習であります。
講習は「宅地建物取引士」の、5年に一度の法定講習と同じように、9時20分から16時45分まで、途中退席は禁じられています。最後には、「修了考査(テスト)」が1時間あります。どこがどうとは言い切れないのですが、前回に比べると、講義内容が違っていたように感じました。新築中心からリフォーム・リノベーションへ軸足が移っているようでした。新築では、CO2削減や省エネルギー対策が加わっていました。
専門的なことは別として、制度改正の大型版を紹介します。令和2年から建築士試験の受験要件が変わり、新しい建築士制度がスタートします。建築士人材を継続的かつ安定的に確保するため、建築士資格の受験資格を改めること等により、建築士試験の受験機会が拡大されます。若い時に受験をして合格を得て、後から実務経験を積んで登録となります。
具体的には、令和2年から「実務経験」は「免許登録(試験要件でなく)要件」となり、原則として、試験の前後にかかわらず、免許登録の際までに積んでいれば良いこととなります。さらに、改正建築士法の施行(令和2年3月1日)に併せ、実務経験の対象実務の拡大等の法改正の趣旨に応じた見直しを行います。
一級建築士を見れば、改正前は4年制大学を卒業しても実務経験がなければ、受験が出来なかったのが、改正後は大学を卒業してすぐに受験することが出来ます。当然合格率が上がると思います。合格から2年の建築実務の経験を経て、登録(一人前の一級建築士)となるわけです。更に二級・木造建築士にあっては、大卒の場合には、実務経験義務がなくなりました。
建築確認制度にあっては、平成17年11月に発覚した構造計算書偽装問題で、建築主事、指定確認検査機関のいずれの確認審査でも構造計算書の偽造が見抜けなかったことが指摘され、平成18年6月改正において、構造計算の審査の厳格かとして、構造計算適合性判定員等による審査(ピアチェック)が導入されました。
大事故とか、大火災、はたまた大震災などをきっかけとして、法律は厳しくなる傾向ではありますが、国産木材が江戸時代とほぼ同じくらいあるそうで、これを使う工法の開発もされています。新国立競技場でも豊富な国産木材が使われたのは記憶に新しいことです。それも全国から県産材を集めたと言うから、この利用がこれからの建築界を変えるかも知れません。「何が何でも鉄筋コンクリートでなければならない」という神話が、昔話になるかも知れませんね。