毎年のことですが、公益社団法人香川県宅地建物取引業協会主催の冬の研修会が、本日と明日、高松会場と丸亀会場で開催されています。われわれの業界の規制法は、「宅地建物取引業法」ですがこれは昭和27年、田中角栄氏ら10名の国会議員が立法したものです。終戦後7年で立法化されたのは、それだけ国民の生活に密着した案件だったからだと私は思うのです。
よく「衣食住」と言われますが、衣はそこそこ流行を言わないなら、「着た切り雀」でも暫くは生きていけます。食も死なない程度に食べることは、そう難しくないことです。それに比べて住は、所有・賃貸はともかくとして住むところがないと困ります。ホームレスでも、段ボールなどで自分の居住空間を確保しようとしています。それほど住は、どうしてもいるのです。
今日の研修のメインは、民法改正の解説です。講師は、佐藤貴美弁護士です。売買契約に関することは、前回やっています。本日は、賃貸契約に関する変更箇所の解説であります。民法の債権編は、任意規定であって契約の当事者間で自由に決めて良いことになっています。従って、民法がどう変わっても、契約内容はそう変わることはありません。なぜなら、「人が暮らす」ためにこれまでもあったものだからです。
民法の抜本的な変更は、120年ぶりと言われています。一番の変更は「保証」に関するところです。古くは「連帯保証人」をとって、家賃の滞納を担保していました。しかし実際は、機関保証といって保証会社に保証を委託しています。今の時代、「連帯保証」は親兄弟間でもとりにくくなっています。
それが改正で、保証の「極度額」を決めなければ、保証は無効になります。入口でいくら保証するか決めるというのです。5万円であれば12ヶ月60万円、その倍であれば120万円まで保証するというモノです。保証はなにも賃料だけではありません。これを「根保証」と言いますが、建物を壊した場合も、連帯保証人が保証することになります。退去時の「原状回復」も保証人の責務であります。
更に心配すると、たばこなどの重過失で火事を出したらその責任も出てきます。火災保険や機関保証が、これから益々重要視されると思われます。勉強は必要ですね。われわれは大きな責務と誇りを持っています。