2020,02,08, Saturday
魚醤(ぎょしょう)は、魚類または他の魚介類と塩を主な原料にした液体状の調味料。魚醤油(うおしょうゆ)、塩魚汁(しょっつる)とも呼ばれる。魚を塩と共に漬け込み、自己消化、好気性細菌の働きで発酵させたものから出た液体成分が魚醤で、黄褐色~赤褐色、暗褐色の液体である。
ケンミンショーは、全国各地の自慢話、特に食べ物についてカミングアウト(告白)する人気番組であるが、6日は「激突!!東西熱愛鍋合戦感動の魚卵!!秋田最強しょっつる鍋VS超濃厚カキ満載!!広島土手鍋」を扱うなかで、三大魚醤の紹介になった。しょっつる鍋に魚醤が使われているから、それではそもそも魚醤は?という展開で、香川県が出てきて私もビックリ。 魚醤は熟成すると、特有の香りまたは臭気を持つが、魚の動物性タンパク質が分解されてできたアミノ酸と魚肉に含まれる核酸を豊富に含むため、濃厚なうま味を有しており、料理に塩味を加えるとともに、うま味を加える働きが強い。また、ミネラル、ビタミンも含んでいる。魚醤はアジア、特に東南アジアの沿岸部を中心に、東アジアの日本、中国なども含め、いくつかの文化圏で多くの料理に用いられている。 日本では、近代的な食生活において、塩分濃度が高く風味が独特な魚醤は、醤油やうま味調味料の普及により一般家庭での使用は減っているが、いくつかの地方には魚醤を用いる文化が残っており、郷土料理などに利用されている。主なものでは、秋田県で「しょっつる(塩汁)」、奥能登で「いしる(魚汁)」、香川県で「いかなご醤油」が製造され、地元を中心に使用されていた。 秋田県名物、伝統的にはハタハタで作る魚醤。現在作られている「しょっつる」は、ハタハタに限らず色々な魚で作られている。もちろん、ハタハタ料理にも付き物。一般的にはハタハタ若しくはタラと豆腐、長ネギと一緒に鍋で煮る「しょっつる鍋」が有名。これは今でも広く、老若男女に愛されている。 またきりたんぽ鍋など、他の料理の味付けにも用いられ、ラーメンのスープに(特に隠し味として)使われる場合もある。創作和食の店ではドレッシングや付けダレなどに混ぜる(いずれも隠し味として)などの工夫も見られる。 そして「いしる」は、能登半島北部で古くから作られているイワシやイカの内臓や頭、骨を塩漬けして発酵させた魚醤油。イワシの身の部分で「糠鰯(ヌカイワシ)」を漬け込むときに、他の桶に骨や内臓を塩漬けにし、発酵させた汁を調味料として使う。骨や内臓を、無駄にしない生活の知恵から生まれた「魚汁」。独特の風味がある。古くから「いしる」の味を活かした家庭料理として「いしる鍋」があるほか、貝焼きと呼ばれる郷土料理がある。 先の二つに対して、「いかなご醤油」は、香川県の特産品。かつては「しょっつる」および「いしる」とともに、日本三大魚醤と呼ばれていた。1950年代に製造が途絶えたが、近年になって少量ではあるが復活生産されるようになったようだ。1952年生まれの私が知らないのも、当然のこと。使われる鍋料理がなかったのも、消えた理由の一つかもしれない。 香川県下で「いかなご醤油」を使っている店 日本料理 菊水 茶寮三日月とうさぎ |