連日香川が、世界規模の高評価を受けていると5日の四国新聞が報じている。「高級な醤油は上質なワインのよう」-。米紙ウォールストリート・ジャーナルで、小豆島町安田のヤマクロ醤油と東かがわ市引田のかめびしが紹介されている。私は醤油とワインは別物だと思うが、使いようによっては、そんな錯覚もあるのかなと思う。いずれにしても、香川県小豆島の醤油が、世界的に脚光を浴びるのは、「こいつは春から縁起が良いわい」。
木桶で醸し出した醤油を高く評価し、高価でも買い求める人が米国でも増えていることを伝える内容になっている。ヤマクロ醤油の5代目社長山本康夫さん(47)は、「アメリカでは高級醤油ブームが来ているようだ。小豆島には木桶を使っている醤油屋がたくさんあり、この流れはわれわれにとってアドバンテージになる」と海外からの追い風に奮い立っている。
明治元年頃創業のヤマクロ醤油では、木桶を使った昔ながらの製法にこだわっており、蔵には150年以上前のモノを含め新旧合わせて74本の木桶が並ぶ。山本さんは全国の蔵元を招いて、木桶職人を復活させるプロジェクトにも取り組んでおり、そうした活動が注目を集めて2017年からは、海外メディアの取材も多く受けている。
山本さんのもとを、米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者が訪れたのは昨年10月。「米国で高級醤油がブームになっている。米国人が醤油蔵を見学している様子を取材したい」との依頼だったという。山本さんによると、同社には海外メディアに取り上げられるようになった17年から外国人が多く訪れるようになり、19年は欧米人の比率も増えて約7千人が来たという。ここにも、瀬戸内国際芸術(2010・2013・2016・2019)の影響は大きいと思われる。
私が初めてアメリカへ行った際、そこにあった醤油ソース(アメリカでは醤油ソースと言う)は「KIKOMAN」でした。必ずと言って良いほど、レストランには必ずありました。そうそう丁度その頃、「焼き肉のたれ」をレストランへ持参したのですが、味見をせがまれたのを今でもよく覚えている。
山本さんは、同社商品の米国での人気も実感している。18年まで主力商品「鶴醤(つるひしお)」の米国への輸出量は年間約2千本止まりだったが、19年3月には約4,500本送ったモノの半年で完売。すぐに約4,500本を追加したが、それも1ヶ月で売れたという。ヤマクロの醤油2本を、50ドル(約5,500)で買うという。
山本さんは、「小豆島が(高級ワインの産地)ボルドーになれるチャンス。全国に残っている木桶のうち3分の1以上の約1,100本が島にあるので、その魅力をさらに発信していきたい」と意欲を示した。「コーヒーやオリーブは、日の目を見た。今度は醤油の番だ」。