2024,03,02, Saturday
いよいよ来月、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。遺産分割で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。
なお、令和6年4月1日より前に相続した不動産は、令和9年3月31日までに手続が必要です。期間内にお話がまとまらず、相続登記をすることが難しい場合は、相続登記義務を果たしたものとみなされ過料を免れることができる『相続人申告登記』をご検討ください。不動産を相続された場合、農地の届け出や太陽光名義変更等のお手続も必要になる場合があります。 これまでは不動産にそれなりの価値があり、自分のモノだという自己主張のために登記をしていました。一部建物表示登記などを除き、登記は自由でした。不動産価格が右肩上がりの時代には、人は喜んで費用をかけて登記をしていました。ところが昨今元自宅や空き家は、二束三文とは言いませんが価格が下落し、解体費を差し引くとほとんど残らないと言うのが、地方都市での話しです。 農地の所有権移転は、事前にその地の農業委員会の許可がなければ移転できませんが、登記原因が『相続』であれば、農業委員会はスルーパスです。従ってあとから、農業委員会に届け出が必要となります。農業委員会はその『田・畑』の所有者・耕作人を把握しておかなければならないとされています。太陽光発電は、経産省の管轄でしょうか、私はこの届け出に関しては知りません。 また、相続した土地について「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由から土地を手放したいという場合には、国が土地を引き取る『相続土地国庫帰属制度』を利用できる場合もあると規定されていますが、実務としては、そう簡単ではないと予想しています。 古くから相続税金銭納付に変わるモノとして、『物納』という方法がありますが、こちらは実務としてできたという成功例は聞きません。都会なら可能かもしれませんが、田舎では大変だと聞いています。境界確認など、義務を急いでやるには、相当の覚悟が必要になります。管理料まで付けて、泣きっ面に蜂です。 前段としていよいよ一昨日、3月1日より本籍地以外の市区町村窓口で戸籍証明書を取得することができるようになりました。「これで、劇的に相続手続きが楽になる」とうたっている専門家もいるようですが、現実はそうでもありません。何しろ、この制度で取得できるのはコンピュータ化された戸籍証明書のみ。ほとんどの相続手続にはコンピュータ化される前の戸籍謄本が必要であり、それらの戸籍は従来通り本籍地に請求することとなります。更に、戸籍証明書取得は窓口に限定され、郵送対応や専門家(弁護士・司法書士)による代理人請求もできません。 便利になっているようですが、いまだ『まだら模様』と言ったところです。確定申告も、スマホからできるという税務署の取り組み方もまだらです。違っていた、勘違いしていたと言われて修正が多く出てきたら、かえって業務が煩雑になります。せめて大型画面で紙幅全体を見られるようにするなど、急ぐ改善が必要だと思います。 今日の記事は、行政書士法人みらいリレーションからのニュースレター情報をもとに構成しました。<contact_info@mirairelation.jp> |