2022,06,17, Friday
建築士に対する定期講習の受講が義務付けられる建築士は、建築事務所に所属する一級建築士、二級建築士及び木造建築士であり、原則3年以内ごとに定期的に本日のような6時間の定期講習を受講する義務があるのです。私は不動産屋として木造建築の仲介に携わることから、若い頃に建物の勉強の一環として木造建築士を受験しました。同じ考えの先輩がいて、彼の主張を鵜呑みにして励みました。
会場は香川県立文書館(高松市林町)ですが、9時から開館します。県下一円から来ていて、駐車場待機組も多く見かけました。座学ですが、最後の1時間は本気の終了考査で、退屈はしないのですがついていくのは大変です。講義内容も一級・二級・木造の別なくですから、私のような木造建築士は、必死でページを追います。 そもそもですが、『建築士法』は、昭和25年に建築物の設計、工事監理を行う技術者の資格を定めてその業務の適切な運用の確保を図る法律制度として、建築物の最低基準を定めてこれを規制する『建築基準法』とともにスタートしました。2つの法律は、建築物の質の確保と向上を図るため車の両輪として機能するように、制定され運用されてきたのです。日本が、敗戦の焦土から立ち上がる牽引力になりました。 しかしながら、平成17年11月に明らかになった姉歯構造計算書偽装問題は、これらの制度に対する国民の信頼を大きく失墜させることになりました。このような背景の中で、平成18年6月公布の建築基準法の改正、平成18年12月公布の建築士法等の改正が行われた。大きな犠牲と共に、これらの法律は厳格化され、資格者にそれを求めるのが常です。 最近の法改正の流れについて一律に論じることは出来ないが、大規模火災を巡る状況(糸魚川市大規模火災平成28年12月・埼玉県三芳町倉庫火災平成29年2月)から、防火関連規制の考え方も大きく変化した。従来は全ての壁・柱等に対し、一律に性能を要求していたが、改正後は密集市街地等における安全性の確保では隣棟への延焼防止が、用途変更(「リノベーション」やリフォーム工事)に当たっての合理化では、在館者の避難安全、木材利用の推進で火災による倒壊防止に力点が置かれた改正になっています。 またこれまでの『新築』中心の規制から、『既存建物の改修』へと大きく舵を切っているのも見て取れる。同じように、鉄筋コンクリート造神話から木材を有効に使う手段方法を確立発展させる方向であることも、国の考える方向性を感じる。日本のおかれている地震多、密集市街地等の現況を考えると、山積する課題は多い。衣食住の一角を担う住宅産業界の、広く考えれば建物建築全般の進化には、講習も必要だろう。 |