2020,08,31, Monday
何と無く目を通した日経新聞の特集だが、回が進むごとに釘付けになっている。初回の『軍事技術』の①東アジア崩れる軍事均衡は、北朝鮮のミサイル戦略や中国軍の動きに焦点を当てていた。2回目の②ドローンという脅威では、1機数万円程度のドローンが大量に攻めてきたら、1機数億円の迎撃ミサイル網でも防ぎようがないという現実を突きつけた。
そして今日のネタは、少し古くなったがシリーズ3回目。最初は何の気なく目を通していたモノが、これは大変だと関心が高まる。イラン軍の拠点やインフラ(社会基盤)施設で、最近原因不明の火災や爆発が立て続けに起きている。何なんだろうと思っていたら、核関連施設でも火災が発生した。単なる事故か、いや敵対するイスラエルによるサイバー攻撃だとの見方もある。 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い大変苦労していた4月、イスラエルの水道制御システムが、サイバー攻撃を受けたのが発端だと言われている。5月にはイランで、港湾施設のシステムが麻痺した。サイバー空間で、両国の応酬がエスカレートした可能性が取りざたされている。個人情報や、身代金を狙った犯罪やスパイ行為に焦点が当たるサイバー攻撃は、敵国のインフラに打撃を与える軍事手段にもなり得る。 日本の防衛白書によると中国は、17万人規模のサイバー戦部隊を擁する。米国と北朝鮮は6千人強、ロシアは千人。日本の自衛隊のサイバー部隊は3百人に満たない。敵の姿が掴みにくいサイバー空間という『影の戦場』を制しようと、各国がしのぎを削る。インターネットがなければ、影の戦場はないのだが、インターネットはもはや社会インフラだ。この存在を否定することは、不可能だ。 いつでも反撃できる意思を示すことで、相手に攻撃を思いとどまらせる「抑止」効果もサイバー攻撃の特徴だ。逆に言えば、サイバー空間にいったん火がつけば計り知れない攻撃を、互いに被る可能性があるということでもある。「核戦略と同じ」と、ロシアの元情報員は語る。「破滅的な戦いを回避するために、いずれサイバー安全保障を交渉せざるを得ない」。サイバー戦争は、現実の脅威となっている。 ある意味、EU(欧州連合)の発想と同じ。つながることで、プラスになると言うグローバリズムを一言で説明すれば、「ヒト・モノ・カネ」の移動の自由化であります。新型コロナウィルスでも、つながること、つまり「密閉・密集・密接」が悪癖だと言われる。人間は、つながっているから生きられるのだ。『つながり』が否定される、何と摩訶不思議な時代だ。 |