2020,08,03, Monday
ソニーは2020年度中に電気自動車(EV)の公道走行の実験に乗り出すとして、先月27日に試作車『VISION-S(ビジョンエス)』を日本で初めて公開した。『VISION-S(ビジョンエス)』は、今年正月にアメリカで行われた「家具ショー」に出展し、注目を浴びていた。この時は突然の登場で、会場がざわついた。私も一報を読んで、テスラ-に続いてソニーも電気自動車業へ乗り出すのかと思いました。
その際にもソニーは、実車の販売は考えていないと話していました。自動運転に必要な、車載向け画像センサーで競合に後れを取る中、実験を通じたデーター収集のために、試作EVを走らすようだ。というのもソニーは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーで、世界シェア5割の最大手。その大半がスマホカメラ向けで、スマホのカメラは私のような1台搭載から、5Gになると3台付きになるという。 画像センサーの新しい販路として、車載や産業用途など向けの販売増にソニーは腐心しているわけだ。先にも書いた通り、現時点ではEVを量産しない方針を示している。画像センサーを自動車メーカーに供給したいソニーにとって、競合にもなるリスクがある。それでも自動車を開発するのは、主力事業である画像センサーなどで、自動運転が無視できない存在になってきた背景がある。 開発中の2台目は、センサーを現行の33個から増やす方針。担当役員は、「公道を走ってみて初めて分かることは多い」と話す。自ら車両を作ってデーターを集め、自動車メーカーに売り込む。完全自動運転になれば、運転手も含め、車内で自由な時間が生まれる。『ビジョンエス』には、360度のあらゆる方向から音楽を聴ける立体音響技術を搭載した。ソニーは、自社の技術や映画・音楽のコンテンツを使った新たなビジネスチャンスとみている。 いま自動車業界は、100年に1度の大変革期を迎えている。電機メーカーのソニーが自動運転EVを開発するのは、クルマがデジタルでアップデートするスマホのような存在になる象徴とも言える。EVで先行している日産も、当然ソニーの画像センサーを取り付けるだろう。クルマが移動手段から、次の楽しみの世界を届ける『ビークル』になりそうだ。 |