もう何度目になるか、『珈笛画廊・ほのほ』の小さな箱のコンサート。新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、アーチストもコンサートが開けず、それでほのほコンサートが増えたわけではないのですが、『支援願望』で仲介する人もいて高松のファンが集まっています。ある意味『けがの功名』と言ったらコロナ禍で苦しんでいる人に申し訳ないのですが、ほのほコンサートが大変盛り上がっています。
私は15時開場の直後に駆けつけて、前の方の席になりましたが、満員御礼の札が出るほどいっぱいの人(コロナ禍で40名弱限定)であります。これまでJAZZありピアノあり、いろいろ楽しませてくれているのですが今日の吉川よしひろチェロコンサートは、スタンディングチェロで聞く者を魅了してくれます。あんな演奏法があるのですね。
「音楽なしでは生きていられない、大好きな音楽を生業としてプロの道で生きたい」そう強く願っていても、生まれたときから片耳が聞こえない私(吉川自身)には乗り越えなければならない壁が幾つもありました。とことん自分と向き合い、片耳が不自由でも音楽家として生きる道はないのかを探し続け、JAZZ、そしてジャンルを超えたオリジナルサウンドをスタンディングスタイルで奏で、弦楽器演奏者として致命的ハンディを乗り越えてきました。
プロのチェロ奏者として現在に至る中で、たとえコンプレックスを持っていても諦めず、自分の可能性を見いだし『オリジナリティ』に変えることの大切さ、素晴らしさをチェロに託してお届けします。チラシには以上のようなことが書かれています。絵画もそうですが、この音楽も言葉で伝えるのは至難の業、かと言って演奏を録音して紹介しても違法コピーと言われるだけのこと。表現力のなさに、沈んでしまいます。
どのように伝えるか、私には明確な手段方法が見つけられませんが、チェロだけで完成音楽を作るのには、吉川氏も工夫を施しています。左足で電子音楽(ベースになる音)をON・OFFしながら、チェロに延長脚(エンドピン)をつけて、スタンディングチェロにして、立ったまま演奏します。その演奏方法は弦を指で操ったり、弓で弾いたり、いろいろな技を繰り出して音を創る。オリジナリティを、ビンビン感じます。
左耳に聴覚障害を持ちながら、それ故に自分のチェロを創り上げている吉川よしひろ氏。目が不自由なピアニストも、いましたね。障害があって出来ないと諦めるか、なにくそとプラス思考で励みにするか、人の生き方は色々ありますね。また元気を頂きました。