2022,02,15, Tuesday
法制審議会は14日、子どもの父親を決める『嫡出推定』を見直す民法改正要綱を古川禎久法相に答申した。離婚後300日以内に生まれた子は、前夫の子と推定する規定は維持した一方、女性が出産時点で再婚していれば現夫の子とする例外を設けるという内容。同時に女性は、離婚して100日間は再婚出来ないとする規定は撤廃する。摘出推定の見直しは、明治時代の民法制定以来始めて。150年前から世の中は、随分変わっている。
民法は父親を早く確定して子どもの福祉を守るため、離婚後300日以内の子は前夫の子、結婚から200日を過ぎて産まれた子は現夫の子と推定すると決めている。ところが昨今は、離婚した女性が別の男性との子どもを産んだ場合に、前夫の子となるのを避けるため出生届を出さず、子どもが無国籍になるという現実がある。これを避けて、実態に合わせた法改正だと思う。当然の措置じゃないですか。 法務省の調査では、今年1月時点の無国籍者825人のうち約7割が出生届けを出さなかった理由に、嫡出推定を挙げている。出産時に再婚していれば、離婚後300日規定の例外とすることで、こうした問題の解消を図る狙い。政府は、2022年度以降の法案提出を目指す。150年ぶりの改正となると、やはり手続きに時間がかかるようだ。 嫡出推定を否認するには家庭裁判所への調停申立などが必要だが、母親や子どもには異議申立権が認められていない。時代劇にあるように、父親が「俺の子じゃない」とわめき散らす権利と言えよう。父親の協力を得ることが難しいケースがあるため、母親にも権利を広げ、申立の期限も延長する。 同時に法制審議会は、『しつけ』を口実に虐待が正当化されているとして、民法の『懲戒権』規定を削除し、体罰の禁止を明文化した。子の人格尊重義務も盛り込んだ、現実に即した改正案と言えよう。蛇足だが、結婚していないときに子どもの父親を決めるには『認知』する必要があるが、この規定に変更はないようだ。 私など親族法に疎い人間には、『一日も早く改正せんか』と思うのですが、このあたりの『あたり前』の法制化は、1992(平成4)年8月施行の『定期借地権』や、2000(平成12)年3月施行の『定期借家権』の動きと同じだろう。グローバルビジネスの掛け声とともに誕生した両法律ですが、日本の賃貸借契約期間に定めがあっても、『法定更新』や『自動更新』などがあっては、契約になっていないという外圧から変更になった。『契約』という法律行為からは、やはり日本人は特異体質と言われて然り。 法律は現実が先行する中で改正されるモノですが、必要だと気がつけば速やかに是正することが、国民生活に必要なことではないでしょうか。ことの良し悪しは別として、『離婚』はこれからも増えるでしょう。事実婚で、入籍しないカップルも散見されるようになるでしょう。余り知られていませんが民法の大部分は、『任意規定(第399~696条)』として当事者の意志によって変更出来る構成です。民法772条は、当事者では変更出来ない『強行規定』です。だから大きな意味を持つ『大改正』です。 |