2020,12,20, Sunday
東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネル工事の直後に、東京都調布市の住宅街で2~3センチ程度の沈下と隆起が発生したことが、イタリアの衛星解析技術社の衛星データで分かったと、日本経済新聞が18日に報道している。われわれ不動産業者にとっても深刻な問題で、水に浸かったことのある土地は、その後売れにくくなるのと同じように、沈下や隆起は新たに『重要事項説明』に加わるかもしれない。
これは10月に、道路が陥没した一帯を調査したものだ。『大深度地下』と呼ぶ地下40メートルより深い場所のため、住民同意は必要ないと言う。地表変化との因果関係が認められれば、補償や技術的な対策のほか、大深度工事を巡るルールの見直しを迫られる可能性がある。外環道は延長85㎞で49㎞が開通済み。 工事中の関越道と東名高速を結ぶ16㎞区間は住宅密集地を通るため、大深度地下を活用する。陥没地点は9月14日に直径16メートルの掘削機が通り、10月18日に道路等崩落の事故が起きた。衛星解析では、掘削機通過前後の9月9日と20日で比べると、陥没現場の東側で1センチ以上沈んだ地点が続出。最大で1.8センチ強も沈んでいた。 現場を視察した専門家は、一部で電柱の傾きや家屋の亀裂を確認。複数の住民が「工事前には見られなかった」と証言している。工事の振動で土砂が圧縮されて地盤が下がったとの見方があり、因果関係が見えてくれば事業者は補償を検討するとみられる。政府は2001年に、地下活用のため、大深度では用地を買収しなくても公共事業を進められる法律を施行した。 首都圏、中部圏、関西圏では住民に告知すれば、同意の取り付けを不要にした。あくまでも地表に被害が出る可能性が少ないとの前提であります。これまでリニア中央新幹線など4件の認可例があるというが、工事現場付近で被害報告はない。外環道の地下トンネル工事もこれまでのルートは、主に粘土層で崩れにくく地表変化は確認されていなかった。陥没場所周辺は地盤が緩く、特殊事例の可能性もある。 土地の『所有権』は、地上地下に及ぶと勉強したように記憶していたが、『大深度地下』とは、地表から40メートルより深く、一般的に利用されていない地下のこと。道路や鉄道など公共の事業は、地上の地権者との用地交渉や補償をしなくても、国土交通省または都道府県の認可を受けて使用できるようになっている。 崩落現場付近では地下47メートルの地点で、幅員16メートル(5階建てビルに相当)のトンネルを掘削していた。大深度を活用することで、水道や電気などのインフラも整備しやすくなる。道路や鉄道も、合理的なルールで事業期間の短縮やコスト削減につながりやすい。しかし地表変化がおこったのでは、住民はたまらない。 |