2020,06,08, Monday
新型コロナウィルス対策を巡って、最新のデジタル技術やデータ活用を取り入れる動きが世界中で広がっている。まず走り出す迅速さ(スピード)、官と民の連携(シェア)、使う手段や情報の臨機応変な代用(サブスティチュート)という「3つのS」の重要性が浮かぶ。危機対応で、各国政府のIT(情報技術)競争力が試される中、日本の出遅れが目立つ。
日経新聞の報道によると、日本は世界順位23位と先進国としては遅れていると言わざるを得ない。どのような根拠での順位付けか分からないが、旧民主党政権下では、「世界一でなければダメなの」と寝ぼけた大臣がいたが、これほどまで日本のIT(情報技術)、デジタル業界が劣っているとは思わなかった。 逆手にとって、弱いところの強化に官民あげて取り組むと良いだろう。各国の取り組みに比べ、日本の出足はまず鈍い。接触確認アプリの開発は遅れ、給付金のネット申請では障害が頻発している。日本は、行政システムを政府主導で手がける自前主義が強いが、経済産業省の幹部は「どんなデータや技術を使えば有効か、アイデアを出せる人材が少ない」と嘆く。 4月に、感染者が急増した米国。失業保険の申請が殺到してオクラホマ州の対応窓口はパンクしかけたが、5月中旬までに累計700億円超の給付手続きを終えた。「自力では無理」と早々に助けを求めたことが奏功した。協力したのは、米グーグルもちろん民間企業だ。4月中旬から州のコールセンター業務に、同社のAI(人工知能)を導入した。 申請データの処理を任せると、1週間の対応件数が6万件と30倍になった。「通常なら2年かかる作業を数日で出来た」と、担当官は話す。また欧州で、最も早く外出制限を緩和したオーストリア。ここでも、成功の秘訣は官民連携だった。4月には政府が自らの統計に限界を認め、民間企業に委託して潜在感染者数を割り出した。世論調査向けのデータ技術を、応用した。 世界を見渡せば、コロナ禍を好機に変えようとする動きも顕著だ。対する日本は、政府・自治体のシステム統合ですら手間取る。コロナ後に世界とのIT競争力は、さらに開きかねない状況だ。IT(情報技術)の遅れが、将来の禍根にならないか私は心配する。中国に遠慮していたら、欧米に置いて行かれる。米中のどちらに付くか、決断の時が今だと私は思います。 |