2020,05,31, Sunday
法務省が、取締役会の議事録作成に必要な取締役と監査役承認について、クラウドを使った電子署名を認めるという。これまで会社法が、電子署名を容認しているかを明示する規定はなかった。新型コロナウィルスの感染防止策の一環で、署名や押印に関わる手続きを簡素にしたい経済界の要望を反映し、法務省が明確な方針を定めた。
認めるのは、「リモート型」や「クラウド型」と呼ばれる方式だ。昨日の小欄にも少し触れたが、署名と署名に必要な鍵をサーバーに保管し、すべての手続きがクラウド上で済ませることになる。当事者がネット上の書類を確認し、認証サービス事業者が代わりに電子署名するのも可能となる。むしろこの「業者型」が、時代を凌駕するだろう。 これまでも、手元で保管するICカードやUSBを使った電子署名は認められていた。ICカードなどの発行に数週間かかり、利用者があらかじめ認証サービス事業者に、自らを証明する書類を提出する必要もあった。どんなに地位の高い経済人も、まず個人であることに間違いはない。仕組みはよく分からないが、「マイナンバーカード」を使えば出来るというふうにすれば、これからの利用は加速するだろう。 このクラウド式になると、利用者は自宅でもどこでも場所を選ばずログインして電子署名が出来る。本人確認も、メールアドレスや2段階認証を活用すれば短時間で済む。取締役や監査役を複数兼務する人の制約が減り、議事録承認も早くなる。 このようなクラウドで電子署名する方法は、何も取締役会の議事録承認だけではない。大中小を問わず、いろいろな組織の承認にも使える。ハンコ押印だけのために出社する愚行は、もうなくすことだろう。行政マンが、自らの仕事を少なくする方向へもつながる電子署名が、新型コロナウィルスをきっかけに、改善が進むという副作用も歓迎したい。 また市井でよく言われているのが、「今までの出張は何だったんだろう」。リモート会議が、「リモート飲み会」にまで及ぶようになった昨今、出張や会議はこれまでの「リアル(実際の)」には戻らないかも知れない。飛行機や鉄道など、広域移動交通の復活はなかなか難しいようにも思う。新しいやり方が、誕生するのに期待が膨らむ。 |