2019,06,01, Saturday
サントリーホールディングス(HD)は、すべてのペットボトルを再生するシステムを確立すると発表した。2030年までに新たな化石燃料を投入せず、再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂と植物由来の素材を組み合わせて代替え、循環させるようにする。海洋汚染など、問題化している「プラ資源循環」のモデルとして期待される。
同社は、現在販売している飲料ボトルに、使用済みペットボトル由来の再生PET樹脂を1割程度使っている。この割合を30年までに6~7割に高め、不足分を植物由来の樹脂で補う。循環システムを、30年までに確立させるという。この投資が、500億円規模になると言うから簡単でないことは十分理解できる。 現在でも一部のフランチャイズコーヒー店などで、プラスチック以外の素材のストローを見かける。素材は分からないが、ここでの植物由来の樹脂は、マツの間伐材や砂糖を作った後のサトウキビから作る。米国に試験新工場を設け、原油由来のナフサ(粗製ガソリン)を分解して作るペットボトルと、同程度のコストで製造出来ると判断したと言う。 23年に稼働させ、量産に踏み切る。24年頃には100%植物由来のボトルを使った飲料を販売すると見られる。再生PET樹脂については、容器を効率よく作るシステムを、協栄産業(栃木県小山市)と共同開発。25年までに、再生設備を全国数カ所に増やす。サントリーホールディングは、世界50カ国・地域でペットボトル飲料を販売し、年間100億本程度利用していると見られる。 この容器の再生は、世界の飲料メーカーの課題でもある。米コカコーラは30年までに容器原料の50%をリサイクルにする目標らしい。ショッキングな報道として、マレーシアの環境相が28日、日本など7カ国からのプラスチックごみが不法に輸入されたことに激怒して、輸出国へ送り返すといきりたっている。当然のことだ、中国が輸入しなくなって、その矛先が、マレーシアなどに向かっている。 そのような背景のもと日本では、行き場を失ったプラゴミの保管量が増加。処理業者が対応出来なくなり、不法投棄につながるとの懸念も出ている。サントリーホールディングの動きに、他のメーカーも追随して、地球環境のツケだけは子孫に残さないように心懸けたい。ここは一番損得勘定ではなく、「正義」という物差しで測ってほしい。 |