2018,11,05, Monday
1877年の西南戦争で敗れた旧薩摩藩士(西郷南洲にしたがった者)が、囚人として服役した宮城県石巻市で、特産の「雄勝石」の採掘に従事した史実を基にした劇「石に刻んだ赤心」が4日、石巻市雄勝地区で上演された。東日本大震災で被災した同地区の復興を後押ししようと、仙台市の演出家、大日琳太郎さん(58)が企画した。
雄勝石(おがついし)はすずりや屋根のスレートなどに用いられ、東京駅の駅舎にも使われている。私も2011年4月に、復興支援と称して被災者の宮本嘉二邸を訪問した。その後この「雄勝硯」に接して、買い求めて今でも愛用している。その雄勝硯が、日経新聞の社会欄の隅っこに掲載されていた。共同通信の配信記事のようだ。 雄勝地区は震災の津波で被害を受け人口が減少、雄勝石の加工業も後継者不足に悩んでいる。大日さんは「地元の特産品の歴史を知ることで、誇りを感じてほしい」と話した。私も被災者の宮本嘉二の「名品や」という声に押されて、買い求めた。今では私の自慢の硯で、これを使って「御香典」や「御霊前」「御仏前」と書きまくっている。当然墨も、筆もそれなりのモノを使っているが、結果は思わしくない。 西南戦争後に服役した旧薩摩藩士らの多くは討ち死にしたが、生き残って雄勝に送られた70人ほどが石の採掘や加工に携わった。その前の戊辰戦争(1868~69)では、薩摩藩は新政府側として、旧幕府側の東北諸藩と敵対関係にあったが、囚人らは恩讐を超えて地域の役に立ちたいと申し出たという。劇は、戦争で心に傷を負った囚人たちが地元の人々と交流し、次第に立ち直っていく姿を描いている。 劇は5、6日に東京で、7、8日に鹿児島市でも上演すると報道されている。何とか雄勝硯、中国産のすずりにも劣らず実に良いモノで、残してほしい日本遺産の一つであります。 |