高松商工会議所(泉雅文会頭)は12日、高松市の国際ホテルで新春祝賀会を開催した。新型コロナウィルスの感染拡大を受け、着座スタイルで実施。会員ら約160人が出席した。挨拶に立った泉雅文会頭は、「デフレマインドからの脱却を果たし、地域における活力を取り戻す年としたい」と抱負を述べられた。
祝賀会の前には講演会が行われ、明治大政治経済学部の飯田泰之教授が、『未来志向の経済成長論~人口減少下の地域と企業~』と題して講演がありました。これは面白い話しでした。過去にNHKBSプレミアムの『英雄たちの選択』で、飯田泰之教授の意見を聞いたことから、そこに紹介されていた著書『マネーの論理』を購読したことがありました。
飯田泰之教授が明治大政治経済学部の教授と聞いて、明大教授陣のレベルも上がったなと感心したのですが、東大大学院満退と言うので『なるほど』とガッテンしました。私の学んだ先生は、このレベルにはなかった。満退の意味は定かではありませんが、博士課程で勉強されていたのには違いない。今日もそうですが、『話し言葉』は分かりやすいのですが、文章は難解だ。
飯田泰之教授も、コロナ下で世界経済が変わったと認識されている。コロナ下での国際サプライチエーンの動揺+米国の対中姿勢の硬化+ウクライナショックによる原油価格の高騰=世界的な脱中国(デカップリング)傾向。結果供給ショックは中長期化するので、サプライチエーンの組み替えが求められ、効率低下は避けられないだろう。
次に変化する世界経済の基調として、西側諸国内でのサプライチエーン再編で、ロシア制裁は長期化する。中国との選択的デカップリングが加速し、インフレ圧力は中長期化する。この西側諸国内で雄となるのは、ドイツ。これに対してアジアでは、日本がその立ち位置になると教授は考えている。その根拠として、次に挙げている。
日本経済への期待は、西側の技術・生産センターとして+いつかくる脱低金利状態が読み込まれている。もう一つ、安全保障にコミット(関与)することは、言わずもがな。経済は、もはや安全保障を抜きには語れないし、別問題化しようとする日本の考え方は、通用しないと考えざるを得ない。問題は、宇宙までを守備範囲としている。
最後に、『人口減少経済は絶望ではない』と、学者らしい論調を展開する。世間常識論を言っていたのでは、四国高松まで呼んでくれない。また児童手当の増額やプレゼントは、少子化対策にならないと、昨日の小欄の私案に似た発言があった。私は、対策は婚姻にあると結論づけたが、飯田泰之教授は、初婚年齢の上昇を挙げた。私は、ここまで言えない。
発言の中で、経済成長の要因は『人口』『インフラ』『技術』のかけ算だと述べたが、その中で『人口』の占める割合はわずか1割だと言うのです。確かに相関はあるのですが、人口増加率の最も高い東京は経済成長率が低く、経済成長率の高い『沖縄』『愛知』は人口増加率も高い。ここから引き出されることは『人口増加は地域活性化目標にならない』。これを統計学では、「統計的優位と言われるが」に留めるらしい。ではないとは言えないほどの意味のようだ。
最後の最後、人口増加のインセンティブ(動機・刺激・奨励)政策の問題点を。全国各地の都道府県市町で、『移民』を奨励し支援金を出している。飯田泰之教授は、『どのような住民が移住をするか考えよう』と、異を唱えている。①経済的弱者②隣町の住民が明らかに多い。1)将来時点での福祉予算増大2)近隣自治体との『チキンレース』化。これは、外国人労働者受け入れにも通底する問題と説明している。