2024,01,04, Thursday
『空き家活用株式会社の和田貴充』氏が、2023年11月30日光文社から上梓した著書です。何かで紹介されていたのを買い求め、晦日(12月)に入ってすぐから読んでいたのですが年末年始、何かと時間に追われ、たまたま時間が空くと何もしたくなくなり、結局今日まで完読が出来ませんでした。いま話題の『空き家』を題材にした、われわれ宅建業界推薦の書でもあります。
空き家問題は自分だけの問題ではなく、地域、社会の問題であるとともに、自分だけでは解決できない問題でもあるのです。『2000万・・・』と言うのは恐らく2000万円のことで、実家を放置しておくとすぐに10年20年が経過し、その間の維持管理費・固定資産税等で積算2000万円位はかかると警鐘を鳴らしています。老後年金2000万円問題と同じように、漠然とした概算のようです。 今さらここで特筆するまでもなく、『空き家』は確実に増えています。その勢いは、元日の石川県輪島市の大規模火災の火の勢いを想像させます。輪島では木造が多くて延焼が広がったと報じられていましたが、空き家は地震の揺れにも弱いのです。倒壊した家屋の多くは、築後半世紀以上は経過しているように見えます。見た目は貧粗に見えるのですが、一二階の庇もないような新耐震基準の現代風家屋は、どっこい頑張って建っています。 古民家研究は私も過去にやっていましたが、多額の費用をかけて耐震補強をしたとしても、震度7の地震には耐えられまい。無惨に倒壊した木造建物も半壊の建物も、恐らくもう使えない。さりとてコンクリート造の建物も、火災や地震にはやはり強くはないのだが、人命保護の観点からはやはり価値がある。木造は座屈すれば、ひとたまりもない。その点ではコンクリート造は、人の命を救うことがある。 話しを本に戻して、2023年6月14日『空家等(土地を含むので等)対策の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(空家特措法改正)』が公布され、新年を迎え本格的に施行され始めようとしています。先の『空家特措法』は2014年11月公布、翌2015年2月に施行されて8年経過して、意見聴取後改正されました。先の法律が空き家の『除却』を意図していたのに対して、改正新法は空き家の『利活用』を狙っています。 同書162ページには、『空き家の活用というのは、役所の仕事ではないのです。極論ですけど、空き家の活用は不動産屋に任せましょう』と記載されています。『空家等活用促進区域』が新設されましたが、当然のことですが空家特措法は、住宅ばかりではなく建築物全体を対象とする法律です。先に空き家活用は不動産屋の仕事、と乱暴に言いましたが、行政の役割は、行政と不動産屋さんの世界がうまく掛け算となるような政策をしていくことです。足し算ではなく掛け算とは、実に面白い視点です。 『空家等活用促進区域』では、接道要件と用途規制の合理化が出来るようになります。あわせて市街化調整区域(香川県にはない)でも、用途変更が容易になります。ニュータウンなどは、住環境保全のため第一種低層住居専用地域が多いのですが、ここにはコンビニエンスストアも出来ません。これらが変わらないと、空き家の利活用は出来ないのです。 いずれにしても『空き家問題』、2024年の主役になるように思います。まずは北陸地方の災害復興政策が優先しますが、同時に全国では『空き家』活用政策が進行すると私は考えています。本来『空き家問題』は、現段階で売却・賃貸・解体を判断するというより、数年前、直接的には『相続』の発生やらをきっかけとして話し合うことから始めると、より上手く解決するように思います。『空き家』は個人の負債かもしれませんが、社会の財産になるかもしれません。 |