12月6日(水)の日本経済新聞朝刊に、受賞作品が掲載されていました。かねてよりパラパラめくりのぱっと見の私に、以下の作品が飛び込んで来て離れなかった。感性だから私の選択が優れているというわけではないのですが、多くの優秀作品が並んでいるなか、白黒ながら日経新聞に掲載されて全30段カラーを想像させる地味な構成で出来ています。
2023年1月5日(木)の日経新聞朝刊に掲載された作品ですが、モノトーンの色調で、色というのはモデル(草笛光子さんだと思う)さんの口紅だけ(全体がカラー作品)のような色使い。『団塊』は団塊の世代を意味し、『ヒール』はハイヒールと英語の『悪者』を掛けている。今日の日本国繁栄は、団塊世代の活躍が大きかった。生まれたときから大競争、死んで柩まで1週間待機の大混雑です。
団塊は、他の世代にとって永遠のヒール=悪役だ。彼らは年を重ねてなお、他人におもねることはしない。いまだに野心でギラギラしながら、高齢化という時代の主役を張っている。団塊よ、どうか死ぬまで突っ張って生き切ってくれ。他の世代を挑発し続けてくれ。表舞台から去るのはまだ早い。ナースコールの前にカーテンコールだ。あなたたちの生き様に嫉妬をこめて、盛大な拍手を送らせて欲しい。
この作品を見ながら私は、福永晴雄(明大同ゼミ生)さんの遺作集を思いだします。改めてページをめくると、昔がそこに凝縮されている。NTT/雑誌・新聞広告(全10段)コードレスホームテレフォンのコマーシャルコピーだが、『こっちもいいが、こっちもいいぞ。』『今日、わが家はめいめいにコードレスホンを配った。』『家庭の事情で選べます。』など。
彼は私より先に彼岸に渡ってしまいましたが、遺族が『福永晴雄広告作品集』を出してくれました。本人のコメントが巻頭を飾っている。『たかがコピー、されどコピー』僕の物語のひとつになってくれたら、この上ない幸せです。友としてはあっぱれな生き様で、最後になった常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)での会話。福永晴雄は決して有名なコピーライターではありませんが、彼も団塊世代のすぐ後輩、一つの時代を立派に生きた仕事人で、夫であり父であり、私の友でした。