かみさんが、売却地の草刈りに行こうと強引に誘うモノだから、付き合います。私に依頼された売却地ではありませんが、次男の不動産会社を手伝っているかみさんの思いつきです。若い頃は私も、売却依頼のあった土地の草刈りに何度となく出かけたものでした。稲盛和夫塾長が、苦心惨憺して開発した商品を抱いて寝たと聞いたことがあります。売却に時間が掛かっている土地は愛しくて、草刈りをしたものでした。
この時期は草の成長が倍速して、それでも草刈りが小欄のネタになることもないのですが、非常に興味深い出来事に遭遇しました。半分くらい草刈りが終わって、もう一踏ん張りと構えたところでした。対象の土地の処理が終わった片隅で、犬に排便をさせている少女を視覚の隅に捕らえました。『非常識な子やな』人が草刈りしている土地に勝手に入って、犬に排便をさせるとは親の顔が見たいものだ。
「今の10代はこんなに非常識か」と思ったものの、「早く消え去れ」とつぶやきながら、汗を流していました。するとどうしたことか、彼女と犬が私に近づき、横でまた排泄させます。「喧嘩売るのか」とも思いましたが、年の頃なら15歳前後まだ中学か高校生のようす。熟女なら私も喧嘩を買いますが、流石に孫のような幼子に驚きながら、それでも一言。
「人がいなければどこでも良いんだけど、一生懸命草刈りしている横で排便をさせるのはいささか気分が悪い。敷地から出て行って」と意識して落ち着いた口調で言い放ちました。その時彼女の顔を見てみると、幼子であることは間違いないのですが、反応がほとんど見られません。驚くわけでもなく、怒るでもなく、かと言って罰の悪そうな顔でも、謝る体でもありません。まだニキビが顔に残る童顔、反応がほとんどなくゆっくり敷地外に消えました。
あとでかにさんとも話し合ったのですが、水曜日のお昼前、どう計算して学校時間です。今言われている『不登校生』ではないのかと、意見が一致しました。家に誰もいなくて、犬にせがまれて散歩に出たのだろうか。今さっき、起床したばかりなのかもしれない。いずれにしても、私の周辺では見かけない少女だった。もし『不登校生』であるならば、可哀想だとしか言いようがない。
可哀想だと言ったら、逆に叱られるかもしれない。彼女は精一杯自分を生きているのだからと。しかし『不登校生』が成人しても働かず、若くして病気だから保護するとして、この少女だけならまだしも、大勢になると社会問題になる。彼女が働くようになった頃、私が生きているか分からないのですが、大きな社会問題だ。少子化でなおかつ『不登校生』、社会対応力のない若者が闊歩する時代が来るとしたら、今なんとかしないと。対処法が、若者にはあると思いますが。