2023,04,03, Monday
登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人とされている不動産を一覧的にリスト化して証明する制度(全国所有不動産一覧表)が新設されました。この制度を実行するためには様々な準備が必要なため施行日は公布後5年以内とされ、確定していません。この証明書の交付を受けることができるのは、次の者に限定されます。なお、手数料の額はまだ決まっていません。
1.何人も、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明書の交付請求が可能です。 2.相続人その他の一般承継人は、被承継人に係る本証明書について交付請求が可能です。 また所有権の登記名義人の相続に関する不動産登記情報の更新を図る方策の一つとして、登記官が他の公的機関から取得した死亡情報に基づいて不動産登記に死亡の事実を符号によって表示する制度が新設されました。他の公的機関とは住基ネットや固定資産課税台帳等を想定しています。 上記の全国所有不動産一覧表を作成するうえで、被相続人分についてはこの方式が必要不可欠です。また、令和4年度税制改正において、法務省と市町村から死亡情報及び固定資産台帳の情報を国税庁の『KSKシステム』にオンラインで提供することが明らかにされましたが、上記と連携することでより正確な課税が可能になります。この制度についても様々な準備が必要なため施行日は公布後5年以内とされ、確定していません。 さらに、相続税に係る固定資産情報の通知が電子化されます。人が亡くなると、市町村に死亡届を提出します。死亡届が提出されると市町 村はこの事実を税務署に紙面で報告し、その際にその市町村にあるその者が保有している固定資産情報も知らせます。今年度中に総務省に死亡届が電子で自動連携され、これがそのまま上記の死亡情報を符号で不動産登記に表示されます。その市町村だけではなく、全国の市町村の不動産登記簿に連携されることになります。結果として先の特定の被相続人が所有権の登記名義人とされている不動産を、一覧的にリスト化して証明する制度につながります。これが、そのまま税務署にオンラインで情報共有されることになるわけです。最終的にここまで完成するのが今後4年以内とされています。 ここまで読み進めると、不動産行政も随分変わるなと想像します。私は根底にある『所有権』そのものの価値、つまり何よりも強い排他的権利を見直す時代に来ている気がしています。確かに『土地基本法』で公権が私権に勝ると規定していますが、実態は何ら変わっていません。土地という地球から借りているモノに、金を払ったから俺のモノだと言い張れる今の権利は、もう少し見直しても良いのではないか。 『IT・デジタル化』は確かに便利になり、時間も費用も削減が出来るでしょう。今は人手不足が各方面で言われていますが、もう数年したら、もしかしたら人手がいらなくなる危険性を現在の社会が孕んでいるように思います。「ボウと生きているんじゃないよ」NHKチコちゃんに叱られそうだ。 機械化は人間の生活の利便性向上のためにあって、決して人間を超えようとはしてないのですが、結果住みにくい社会が出来上がる可能性も否定できない。『IT・デジタル化』は住みやすくするためのモノだが、そこで停止するかどうか、それは分からないのです。人がやることは、この辺でお仕舞いとなるが、機械は命令完遂まで止まらない。 |