特定非営利活動法人近畿定期借地借家権推進機構が主催する、恒例の1月研修会です。毎年この時期に、今仲清税理士と坪多晶子税理士による「新年度税制改正の解説」。会場は、「大阪産業創造館6F会議室」。沢山の改正大綱から、―不動産関連を中心に―解説がされています。大阪らしく、二人の掛け合いで解説がされ、120分があっという間です。
冒頭に日本人の高額所得者が年収850万円で、この層の230万人が、増税になることから、「貧乏日本人」と政府の見解をちくり。全体的に10万円控除を増やしたり、逆に10万円控除額を下げたり、ちまちました改正が行われています。これもIT活用の結果かと思います。E-tax推進のためのさらなる控除も、コンビニ利用にも活路を開いています。当然マイナンバーの連携も、今年は一気に加速するように思います。
相続・贈与税制では、「一般社団法人等による租税回避行為規制」が目玉。平成20年の公益法人制度改革に伴い、一般社団法人が登記だけで設立できることになり、租税回避策として利用が広がっている。会社を作るより、一般社団法人には、持分が存在しない等、設立も利用も手軽です。そのため、一族で実質的に支配する一般社団法人に財産を移転したあと、役員の交代による支配権の移転を通じて子や孫にその財産を代々承継させた場合でも、相続税は課税されないのが現行税制。
これが同族役員数が2分の1を超える場合、相続税の課税対象となり、贈与税も、少し変形したものが、小規模宅地等の軽減特例でも改正になっています。では同族以外の「他人」を入れたら良いじゃないかと考えるのですが、他人が多くなると結託して、「同族」がのけられて財産が乗っ取られる危険性も出てきます。
また農地等に係る相続税の納税猶予制度にも、大きな変更があります。2022年に30年の期限を迎える、生産緑地制度に対するものです。これは三大都市圏内の農地と、一部その周辺(和歌山市等)にあるもので、全国的には関係ない改正です。また全国的に展開されている「水耕栽培」などの、コンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地が、「農地」と同様の扱いとすることの措置が明記された。
不動産取得税・登録免許税・印紙税の軽減措置は、2年もしくは3年の継続が決まった。耐震改修やバリアフリー改修には、固定資産税の減免措置があります。さらに居住用財産の譲渡(マイホーム売却)のうち、約7割において売却損が発生していて、住み替えの支障となっていることの手当てもされている。