資生堂は6日、2019年12月期の連結純利益が、前期比20%増の735億円になったと発表している。2期連続で、最高益を更新した。国内は消費増税の買い控えインバウンド(訪日客)需要が減速したが、欧米事業の収益性が改善した。20年12月期も最終増益を見込むが、現時点の予想では新型コロナウィルスの影響を反映していない。
その化粧品大手の「資生堂」は、栃木県大田原市に化粧水や美容液などのスキンケア商品を製造する新工場を建設し、2019年12月末に本格稼働した。同社の国内工場の新設は、実に36年ぶり。アジアでの人件費の上昇や、「メードインジャパン・ブランド」人気の高まりが背景にあり、同業大手の「コーセー」も、2021年度に山梨県南アルプス市に、国内工場としては42年ぶりに新工場を建設する計画だ。
資生堂が大田原市に建設した「那須工場」は、敷地面積約11万平方メートル(約3万3千坪)に及ぶ。従業員は約350人態勢でスタートし、2022年には1000人規模になる予定で、地元は雇用の拡大を歓迎している。今後も2020年度後半には大阪府茨木市、2022年度前半には福岡県久留米市でも新たな生産拠点を稼働させる予定だ。
資生堂やコーセーが国内回帰に動き出している大きな要因の一つは、2014~2015年ごろから急速に高まってきたインバウンド需要だ。「特に中国の消費者は『日本製』を信頼しているほか、所得水準も上がってきており、値段が高くても安心して使える日本製であることが購入の決め手になっている」という。
さらに、日本企業がこれまで生産拠点としてきた中国などアジア諸国では、経済成長とともに人件費が上昇し製造コストも上がってきている。海外で、製造するうまみがなくなっていることも大きい。発展途上国のカントリーリスクも考慮すれば、海外進出のメリットもかき消されかねない。新型コロナウィルスの感染拡大も、その一つであります。収束しても、次がないとは言いきれない。
こうした流れは他業種のメーカーにも広がっており、日清食品は2019年春、滋賀県栗東市で22年ぶりに国内新工場を稼働した。日産400万食の生産能力を持ち、最新鋭の品質管理システムも備えている。また、ユニ・チャームも2019年、福岡県苅田町に26年ぶりの新工場を稼働。産業用ロボットなどによる省力化を、徹底した。ライオンも、2021年に香川県坂出市で、52年ぶりとなる国内新工場を動かす予定だ。有り難い、県民上げて歓迎します。
生産拠点を国内に移す「国内回帰」の動きは、上記の通りライオンや日清食品で動き出しており、今後も全産業に広がる可能性が高い。人件費の高騰を理由に、東南アジアへの工場進出が続いたが、ここへ来て国内回帰が見直されている。しかし回帰できているのは、資生堂などの大企業・高収益企業である。親会社について海外に進出した中小企業は、まだ帰ったとは聞かない。
新型コロナウィルスが発生したから中国がダメだと言う気は全くないのですが、韓国に始まり労働賃金の安いところを放浪し、今はベトナム等に軸足がかかっていますが、その内アジアを捨てて、アフリカまで行くことになるやもしれない。それなら一層のこと、国内工場で産業用ロボットなどを駆使し、生産効率を上げて安全安心に操業するのが、勝ち組のように思います。
蛇足ですが資生堂の第6代岡内英夫社長(昭和42年-昭和50年)は、高松商業高校、高松高等商業学校(現香川大学)出身です。昭和47年
に、創業100周年記念事業に取り組んでいます。