1本の電話は、ある社会福祉に関係する女性からの質問でした。「リバースモーゲージというシステムを聞いたのですが、私がお世話しているA子さんにどうでしょうか」。正式な定義は知りませんが、今住んでいる自宅を売却し、代金を受領し本来なら明け渡すべき自宅にそのまま住み続けるという新しい不動産売買契約の形態です。全国ネットのCMが一人歩きし、不動産会社や金融関係が取り組んでいます。
一番の落とし穴は、都会に見られるような高額不動産でなければ、組成は難しいのです。仮に1億円の価値が見込める自宅の土地・建物があったとしたら、業者は半額の5千万円は即金で払い、売買契約は成立し登記名義はその業者になりますが、元の持ち主は『永代使用権』を特約し、死ぬまでそこに住むことが出来ます。月額賃料を50万円だとすると、1年間で600万円、10年なら6千万円で業者から見れば値上がり分や固定資産税などで1億円でも相殺になります。
このスキムを田舎の自宅で組成すると、2千万円しない評価で、売買価格は仮に1千万円だとして、月額賃料10万円で年間120万円、10年間使用したら1200万円で値上がりを考慮しても取り組む業者は居ないでしょう。従って田舎では、リバースモーゲージが成り立たないのです。全国CMで新商品だと勘違いして個人が動くのは良いとしても、公的立場の人がアドバイスして取り組むのは問題化しかねません。
そのため公的立場の人は、私に質問してきたのですが、高松市近郊ではなかなか取り組みにくい案件だと思います。住宅価格が1億円にもなれば、良いシステムだと私も思います。全国的には、東京23区の中での話し、全国的にも一部での話だと思います。変数が寿命ですから、その後何年生きるか誰にも分かりません。
これとよく似た最近のニュースとして、『首都圏で定期借地マンション最多』と新聞が報じている。定期借地権は、1992(平成4)年8月1日施行の借地借家法の改正で誕生した新しい制度です。あれから30年超が経過しましたが、理論上は実にすばらしい制度です。しかし理が勝ちすぎて、実効性に乏しいあまり使えない制度という意味では、先のリバースモーゲージというシステムとよく似ています。
しかしながらここへ来て『定期借地権』が、二度三度目の脚光を浴びています。まずは首都圏の分譲マンションの価格高騰です。定借マンションは、普通の分譲マンションでは購入時に土地も一緒に取得し、売却しない限り所有権は永久です。これに比べて、定期借地権付きには最低50年から70年程度の土地の賃借期限が設定されます。期間満了時には建物を解体し更地で返還する必要があり、解体準備積立金や土地の利用料が毎月かかることになる。それでも土地価格が含まれないだけ、当初の販売価格は2~3割安いのです。
二番目は、開発業者がマンション向けに土地を取得するのが難しくなっていること。ホテルなど他の用途と競合するだけでなく、地価上昇を期待する地主は便利な土地ほど手放したがらない。地主は宗教法人や医療法人も多く、大手デベロッパーは「土地を管理してもらい、満了時に更地で戻ってくる利点は大きいようだ」と話す。
不動産経済研究所によると、25年の販売数は1502戸となり、過去最多だった08年の1281戸を大幅に上回った。定期借地権付きマンションは、解体して更地返還だから、現状のマンション問題の肝も解決できる。理論上はすぐれた制度だが、理が勝てば利がすくむ。得するとなれば、10年後20年後は、当たり前になる。ただしこれも、大都会でのスキームであります。田舎では小例で、終わってしまいました。人脈で確認してからアドバイスしてください。