2025,06,24, Tuesday
小豆島町出身の作家・壺井栄(1899~1967年)が、第2次大戦末期に中国で刊行した幻の短編小説集が、北京大学の図書館で見つかっていたことが23日までに分かった。7月11日頃、京都の琥珀書房からの新装版が書店に並ぶという。小豆島町出身の作家壺井栄氏は、小説『二十四の瞳』を書いて映画化されたことも手伝い、香川県内外でいまだに人気が高いのです。
小説の主人公大石先生が勤務した『島の分校』の教室では、いまだに老若男女が絶えない観光地とされています。見つかったのは、短編小説集『絣の着物(かすりのきもの)』で、1945年6月(沖縄総攻撃が行われた頃)に北京の月刊毎日社が刊行したもので、写真からはきちんと製本され、図書館タグも貼られている。 戦争末期の厳しい言論統制や紙の不足で、日本国内では作品発表の場が制限されていたため、中国での出版にこぎ着けたが、壺井栄自身も手に入れることが出来なかったと言われている。戦後の混乱で失われたと考えられていたが、北京外国語大学の秦剛教授(日本文学)が2016年ごろ北京大学の図書館に所蔵されているのを見つけたという。それがなんで今頃発表されるのか、理解に苦しむが、いずれにしても新装版が書店に並ぶというのはありがたい。 その頃の中国首都北京も混乱の中にあり、発行部数も定かではないが、作家自身の手元にもないことからしてもその発行部数は些少であったのではないか。その中でも出版社が、大規模図書館に寄贈することは当時も行われていたと思う。私も小覧で既報の通り県知事賞受賞記念に長男が『会長日記』を300部ほど印刷製本してくれたのですが、2冊を厚かましく『国会図書館』に贈呈しました。正確には3冊(本館と分室2)必要ですが、2冊でも保管されていました。 よせば良いのに国会図書館へついでに立ち寄り、閲覧申請したらかなり待ちましたが出てきました。もう私の手元にもなく、私からすれば『幻の会長日記』ですが、誰の目に触れることもなく保管されていました。この経験からも、新発見はありがたいことです。研究者には垂涎の的でしょうが、一般人にも当時の様子が克明に綴られている短編小説集『絣の着物(かすりのきもの)』は、面白いものでしょう。 反戦思想は許されない『空気』の中で、小豆島町という田舎出身の作家壺井栄がどのように書いているか、私でも興味が沸きます。
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