弘法大師のお膝元・善通寺市は、人工知能(AI)を活用して固定資産税の税徴収業務を効率化するシステムを開発したと発表しています。土地の利用状況をAIで分析し、固定資産税の課税に活かす仕組みのようで、外注すると3千万円以上のかかるシステムを、安価な市販ソフトプログラムを組み合わせて市職員らが約120万円で開発しており、行政の画期的なAI活用例として注目を集めそうだ。
各市区町村は、独自に固定資産税を課税しているが、その総額は、市税の6割にも及び、これが今後毎年課税対象となる。『固定資産税』は土地や家屋、特定工作物などに課税され、土地は実際の用途によって課税金額が変わる。これまでの『田畑』を宅地化することで、課税金額は高くなるし、原則は実態に合わせて課税される。このことから市職の担当者はバイクなどで、管轄エリアをくまなく走り回っている。話しすると、詳しいのに驚く。
善通寺市の場合には、市内には固定資産税を課税する土地が約7万筆ある。これまでは3~5年ごとに、近隣市町と合同で航空写真を撮っておよそ500万円で購入していた。この写真を土地利用の状況把握の参考にするとともに、ゼンリンなどの地図業者に毎年約120万円で委託して利用状況を予備調査。それらの情報を基に、市職員が毎年約800カ所の現地調査に出向いており、膨大な手間と時間がかかっていたという。
善通寺市が開発した新システムは、『航空写真』ではなく安価な『衛星写真』を利用している。AIで前年との画像を比較し、例えば水田だった土地が駐車場になっている場合など、違いが瞬時に分かるようにした。その上で市職員が現地調査するが、民間業者への委託が要らなくなる上、調査箇所は半分ほどで済む見通し。バイクで走り回っても、横道に入ったところは見逃しがちになり、本来の課税が出来ていなかったことがあった。市民の側から、申告するのは減税の場合が圧倒的。店頭での商売を廃止した場合など、届けると安くなる。
システム自体は、プログラミングに詳しい市職員が、AIを活用して構築。市のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部を支援しているIT企業が協力し、試作品をつくりあげた。現在試験運用を行っており、今後は汎用性の高いシステムに改良し、希望があれば他自治体への提供も検討しているようだ。
市は「エリアが広くて職員が少ない小規模自治体にとっては、行くべき場所が絞られるのは大きい」と言う。機械が検索しても実際現地確認を市職員がすることから、齟齬の心配は限りなく少なくなる。さらに利用度を深めていけば、違法建築の監視や、大規模開発申請地(大規模埋め立て地など)の進捗状況の把握などに使えると私も思います。市職員さんナイスですね、先に述べたように市税の6割を締めているからとて、多額の費用をかけていてはコスパーに合わない。