2020オリパラで新しくなった国立競技場の民営化事業に関し、日本スポーツ振興センター(JSC)は3日、NTTドコモを代表とするグループを優先交渉権者に選んだと発表している。Jリーグも参画する同グループは、30年間の運営権の対価として528億円の支払を提案した。懸念された公費による赤字補填がなくなる見通しで、計画通り進めば『負の遺産化』を避けられる可能性がある。
グループは、NTTドコモを代表とする前田建設工業やSMFLみらいパートナーズを含めた4者で構成。NTTドコモによると、スポーツ大会に加え、独自に開発する遮音技術や、NTTが研究を進める次世代の高速通信技術『IOWN(アイオン)』の活用により、コンサートなどの開催頻度を増やして収益性を高める方針だという。命名権売却などでも、収入を模索する。
民営化にあたっては採算性が課題とされ、国が年間約10億円を上限に負担する方針を示していたが、NTTドコモのグループは国の負担を求めないという。私はごく当然だと思います。あれだけの設備の箱を運営していくのに、年間10億円モノ追い金を払う仕組みはどう考えても馬鹿の骨頂だと悲しくなっていました。よくぞ日本人、馬鹿とはさみは使い方次第と言うが、日本一の建物の日本一の運営方法だと思います。
もっとも年間約11億円の東京都などへの土地賃借料(定期借地権)は従来通り、国が負担する。これの吸収が出来れば、パーフェクトではあるが、活用提案のあった3グループからの事業方法やコストの提案を総合評価した結果、NTTドコモを代表とするグループに内定している。事業期間は来年4月からで、近く正式に契約するようだ。
ISCの芦立訓理事長は「わが国における野外スタジアムビジネスの新しい可能性を切りひらく、意欲的な事業内容だ」と歓迎している。整備費の高騰が批判された国立競技場は、開閉式屋根の設置を取りやめるなどしてコストを削減し、1569億円で建設されたが、近隣への騒音から、コンサートなどの興業を頻繁に開けないことが課題だった。
今回のNTTドコモを代表とするグループ計画で、実際に収益を確保出来るかどうかが鍵となるが、技術革新による成功例となれば、全国各地のスタジアムの活性化につながる可能性もある。今回手を挙げた3グループのうち、もう1グループも公費負担を求めず、運営権対価を支払う提案だったことから、NTTドコモを代表とするグループが採算度外視で手を挙げたわけではないと言われている。勝算があるわけだ。
近年完成した競技施設運営には、通信事業者の参入が目立つという。NTTドコモは、既に有明アリーナ(東京)やIGアリーナ(愛知国際アリーナ)に参画。長崎市の大型複合施設『長崎スタジアムシティ』にはソフトバンクが携わり、新たな潮流となっている。関係者によれば、今回入札で破れた2グループは、大手ゼネコン中心だったという。
競技場の基本設備として高速通信が必須となっていることに加え、魅力や価値を高めるために通信事業者の技術を活用する傾向が強まっている。ハードとソフトの融合が求められている。これで『日本武道館』と双璧で、日本の代表的施設が誕生する。あの場所は、良いところにあります。
政府関係者は「国立競技場がうまくいけば、運営に苦労している地方のスタジアムに与える影響も大きいだろう」と期待を寄せている。翻って『あなぶきアリーナ香川』だが、一部設計変更にも応じて使い勝手が改善されている。ここに期待する県民の四国一円からの声が、聞こえる。対岸の岡山も『あなぶきアリーナ香川』に触発されている。箱物に命を入れる今回の計画、日本人の矜恃をうれしく思います。ありがとうございます。