最近の地方紙には、映画情報の欄がない。それはそうで高松をはじめ、全国津々浦々まで『イオンシネマ』しか上映館はないのだろう。であるならば、インターネットで『イオンシネマ』を検索し、そのままネット予約が奨められます。しかしこのネット予約がままならない、まず会員登録から要求する。勿論この先度々あるとは思えないモノで、『無料登録』を選択して予約に入ろうとする。
結果として、会員登録までは無事済んだようだが、チケット予約は出来ていなかった。シネマ窓口で「予約したという携帯の画面を見せろ」と言うが、予約画面はパソコンで自宅待機、ここにあるのはスマートフォン(スマホ)だ。転送するという技があるのは承知しているが、知っていることと出来ることはまた別だ。窓口で、チケットを現金で買い求めた。こんな私、デジタルの世界へはまだまだ入れていない。
肝心の映画の話しだが、『トップガン・マーヴェリック』はあの伝説の『トップガン』の続編で、この間に空前絶後の時間が流れている。
1986年の『トップガン』から、36年振りの続編だが、これは業界の常識からも長い、長すぎる。『トップガン』の大ヒットで一役大スターの道を登り詰めたトム・クルーズだが、なぜだかこの映画の次作興行権(こんなモノがあるのか思うが)を誰にも譲らなかったという。
満を持して取り組んだ今作のストーリー展開は、前作を引きずっている。これがまた良い。音楽も前回のも使っている。これが見るモノの郷愁をひき付ける。前作の輝かしい戦歴とは裏腹に昇進を拒み続けている彼は、部隊で一悶着起こした関係で左遷され、スクラムジェットエンジン搭載の極超音速テスト機「ダークスター」のテストパイロットを務めていた。映画はここから始まり、ここで終わる。
しかし最高速度がマッハ10に達していないのを理由に、開発計画が凍結されることを伝えられる。マーヴェリックはチェスター・“ハンマー”・ケイン海軍少将が計画凍結を言い渡しに来る前にマッハ10を達成すべく離陸し、見事成功させるが、独断でそれ以上に記録を伸ばそうとした結果、ダークスター飛行機を空中分解させてしまう。
無事脱出し帰還したマーヴェリックは、飛行禁止を言い渡されてもおかしくない立場だったが、かつて戦闘機パイロットとしてマーヴェリックと共に戦った、太平洋艦隊司令官トム・“アイスマン”・カザンスキー海軍大将の強い要望で、ノースアイランド海軍航空基地の「トップガン」における教官職を命じられた。
その頃、とあるならず者国家がNATO条約に違反するウラン濃縮プラントを建設し稼働させようとしていたため、それを破壊すべく特殊作戦が計画されており、マーヴェリックは、同作戦に参加させるためにトップガン卒業生から選りすぐられた若き精鋭パイロット達に対し、特殊対地攻撃作戦の訓練を施す教官として抜擢されたのだった。
この任務は、敵基地周辺の強力な防空網を避けるために険しい渓谷を超低空・超高速で飛行しなければならず、電磁波妨害も行われているため、GPSを用いる最新鋭機のF-35は役に立たないという極めて困難な任務であった。究極のリアルを追求するトム・クルーズは、ここでもCG合成を一切使用せずに飛行シーンの撮影を敢行。
戦闘機にIMAXクオリティカメラ6台を搭載し、本物の臨場感を映像化することに成功した。またキャストたちも3か月以上にわたる厳しい訓練を乗り越え、常人の限界を超えるG(重力加速度)が加わる実際の戦闘機に搭乗して、過酷な撮影に挑んだ。その結果、爆音を立て超音速で疾走する戦闘機、息をのむ激しいドッグファイト、一瞬の判断ミスも許されぬ命懸けの飛行など、誰も見たことのない超絶スカイ・アクションが誕生した。
敵基地駐機のF-14という旧式機を僚友と奪い、逃げる際の次世代戦闘機との戦いで、F-14が嘘みたいな勝利をし、敵機を撃墜して難を逃れたように見えたところの真正面にもう一機。万事休す、なすすべがない状態からこの類いの映画のどんでん返し、同僚機の援護で仲間に救われ。彼は、同乗していた過去の仲間の息子にも助けられたと考える。親父との親交が、息子とのファイトで蘇る。これほどスカッとした映画は、久しぶりだ。見るモノの期待通り、いや期待以上に好展開する。
新型コロナウィルスの流行に伴い、ハリウッドの世界も窮地に立つ。その窮地を興業面から、カオスから救った映画が『トップガン・マーヴェリック』。平日の私の定休日に見に行きましたが、大いなる勇気と『考える』前に『行動せよ』の主人公の台詞に、小膝叩いて『ガッテンだ』。閉塞感漂うコックピットや今の混沌とした世の中、考えて悩んでばかりいては解決(成功)にはほど遠い。久しぶりに、映画らしい映画を拝見しました。窓口販売でも老人割引適用、面白かったですね。