新築住宅の省エネ義務化を柱とする改正関連法が13日、参院本会議で全会一致により可決し成立した。義務化は2025年度からの見込みで、施行日はこれから政令で定める。同時に、既存住宅(中古住宅)の省エネ改修支援も盛り込んでいる。既存住宅の省エネ改修には、500万円を上限に住宅金融支援機構が低金利で融資する。まずは新築住宅に、重点を置いている。
着工前に住宅の構造を調べる『建築確認審査』の際、断熱性能や空調、照明などのエネルギー消費が基準に適合しているかを検査機関が判定。未達成なら、自治体が是正を命じる。要するに『建確』が通らないので、工事着工が出来ない。自治体が求める仕様に合致した『建築確認審査』でなければまずいのは、これまでと何ら変わらないが、より緻密になったと言えそうだ。
建物省エネに関する改正法のポイント
1.新築住宅、小規模ビルに省エネ基準適合を義務付ける。
2.不適合は自治体が是正命令、従わない場合は300万円以下の罰金を科す。
3.既存住宅の省エネ改修に低金利融資をする。
4.太陽光発電パネルなどの設置促進区域を自治体が指定する。
5.3階建て木造住宅など、木材利用を促すため規則を緩和する。
2025年度まで3年の準備期間があるが、中小零細工務店の負担増が懸念され、国土交通省は手続きを簡素化する方針ではある。それでも中小工務店には、かなりの手間となるだろう。今回の国会審議では、野党からも手続きの煩雑さを懸念する声が出た。施工業者は着工前に構造、設備の省エネ性能について複雑な計算をして、自治体か民間指定機関に計画を申請し、審査を受けなければならない。
国土交通省は負担を軽減するため、一定の建材や設備を採用すれば、複雑な計算を省略可能にすると答弁。全国展開の大手に比べて、地場の工務店はコスト面でも不利だと地元工務店担当者は語る。型番審査で通る、画一した住宅が一層多くなるように思う。太陽光発電装置の設置は義務化されなかったが、東京都は独自に設置義務を課すとしている。香川県では今のところ、義務化は求められていない。
これも住宅に設置を義務化するのは、おかしいと思う。今の状態では蓄電池の普及が高額化して、投資対効果がままならない。であるならば、昼間に発電し、昼間に消費する産業用に重点を置くべきだろう。工場、店舗事務所など、昼間の消費が多いところに設置を促すのが現実的だろう。
自動車業界と同等以上、建築業界は裾野が広い。だからまちなかの大工さんや工務店も生き残れている。いまや小さな街の商店として存在しているのは理美容店と、生鮮3品販売店だけと言っても大きくはずれていないだろう。香川県のように『讃岐うどん店』は残っているが、これは地方の例外と言えるほど稀な現象だ。
自然淘汰されてきた結果だから、仕方ないと言ってしまえばそれまでだが、生活支援業の多くが大手となると、日本全国『金太郎アメ』になって、面白みがない。時代の流れと諦めて、流れに身を任せるしかないのか?