江戸時代中期から昭和45年まで250年間続いた史実に基づいた、あわさぬきの『借耕牛(かりこうし)』物語を本にした冨田紀久子さん。かみさんがブティックを経営していた紺屋町三光館ビルの娘さんとして、香川県中小企業家同友会会員の頃から、そうですねもう40年前頃から旧知の仲。香川宅建協会の『幼稚園児絵画展』の審査委員も、長くお願いしています。
四国新聞の報道で、『借耕牛探訪記』が本になったことは存じ上げていました。義理にも買いに行かんといかんなと思っていたところに入電。約束の時間を1時間遅刻しても、開口一番『3冊は買うて』と頭髪白髪で多少年を重ねても、元気そのものの『きっこさん』。あの「あっはっは」と笑う声と、押しの強さは古希を超えて益々盛ん。本の販売活動に、旦那様と東奔西走のようです。
香川県下の図書館・児童館、高松市内のコミュニティーセンターや徳島県内の図書館の一部へも『寄贈』したという。自らがデザイナー(㈲デザインオフィースキクコ代表取締役)で、編集もこなして印刷費は格安に上がったと言いながら、フルカラーのページも多く、その費用はままならない。弊社も平成元年の香川県知事表彰の記念で、当時の社長が『会長日記』を1千部印刷したが、それから推測しても自費出版とは驚く。
表紙には、『まんのう町落合橋の欄干レリーフさぬきへ行く借耕牛』と、『あわへ帰る借耕牛のレリーフ』が掲載されている。借耕牛は、あわの牛が春に出稼ぎのためにさぬきへやって来て、冬になる頃あわへ帰るという物語を絵にしている。勿論年をまたいで働く借耕牛もいただろうが、帰るときに牛も人間も泣くという。
冨田紀久子さんは私がまだ不動産業界に入る前、麺業で一生懸命励んでいた頃、『誠幸麺業』の法被を作ってくれた。字は猪子進氏の御尊父が書いて、染めや縫製を冨田紀久子オフィースがやってくれた。その後再会したのが、中小企業家同友会だった。先にも触れたが40年、かみさんと出会うより早かったかもしれない。当時の同友会でも『借耕牛』は、よく聞かされていました。
借耕牛は、彼女のライフワークの一つだと思います。その後いろいろ取材を重ね、関係者の話を後世に残すべく、彼女の得意技である『絵』にしています。画家として、統一したテーマを持てることはなかなかないことだろう。かなりの力作、それも自費出版で寄贈を重ね、今の子どもらにも知ってもらいたいという熱意。凡人に出来ることではありません。是非お買い求め頂き、『歴史』の証言者として借耕牛の涙を伝えて下さい。
令和4年1月20日初版発行3,300
〒760-0078 香川県高松市今里町1丁目430-30 冨田紀久子さん
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