久しぶりに日経新聞からネタをとってみます。スタートアップの建ロボテック(香川県三木町)は、建設工事を省力化するロボットの開発を進めている。2020年には建物の骨組みとなる鉄筋同士を針金で自動結束する『トモロボ』の販売を開始し、22年1月にはトモロボの作業効率を高める、管理ロボのレンタルを始める。
少子高齢化に伴って、深刻さを増している建設人材不足の解消につなげる。鉄筋結束は、コンクリートを打つ前に鉄筋を固定し、建物の強度を維持するための工程。腰をかがめての作業となる。結束工事を手掛ける都島興業(香川県さぬき市)の真部達也社長は、炎天下でも単純作業を繰り返していた鉄筋工としての経験から、作業を自動化できないかと考え、13年に建ロボテックを立ち上げた。
鉄筋の上を自律走行するトモロボは、他社製の鉄筋結束機を取り付けて使用する。鉄筋の交点をセンサーで把握しながら1カ所当たり3秒弱で結び、1つ飛ばしなど結束箇所の指定も出来る。導入で4割弱省力化でき、建設現場60カ所以上で導入されてきた。建設業就業者は高齢化が進み、今後一層の人手不足が見込まれる。
鉄筋工の人手不足は、建設業就業者の中でも深刻で、21年9月の有効求人倍率をみると「建設・採掘の職業」が4.87倍なのに対し、そのうち鉄筋工を含む「建物躯体工事」は7.99倍にのぼる。私は現場を知らないが、外国人技能実習生の来日は新型コロナウィルスの感染拡大に伴い休止していると聞く。労働力確保の観点から考えると、機械化・自動化が望まれる。
建ロボテックは22年から、より多くのトモロボを1人で監督するためのサービスを始める。トモロボが1つのレーンで作業を終えた後に、隣のレーンに自動で移動させる必要があるが、鉄筋端での折り返しを自動化するオペレーターロボットを新たに開発した。鉄筋の両端に1台ずつ設置する。トモロボが折り返し地点に到達するとオペレーターロボットに乗り上げ、その間にオペレーターロボットが移動しトモロボは、次のレーンで再び自律走行する。
トモロボ(子機)とオペレーターロボット(親機)は、互いの位置を送受信しながら効率的な作業順序を決めている。従来は監督者1人で3台のトモロボを運用したが、スライドを自動化することで6台を同時に扱うことが可能になる。トモロボ2台、オペレーターロボット2台のセットでレンタル料は月額36万円。
人手不足という課題から始まった地方発スタートアップが、全国の建設業者を支えるロボット親子の実現に挑む。引き手あまた、どこでも欲しいロボットのように、異業種の素人でも渇望するのではないだろうか。先に書いたように、これまで労働力不足を外国人技能実習生に求めていたが、それがなくなりいよいよ不足した建設現場からの需要と供給だ。
建物の骨組みとなる鉄筋同士を針金で結束する作業は、ベテラン技も機械の自動化もさほど差はないように思う。どうしても必要な課程だけに、これまでなかった自動化が叶えば、作業効率が上がり、しいては建築費の削減につながるのではないか。詳細は分からないが、床が出来れば壁部分の結束、さらには高所部分の結束につながれば、使い勝ってが数段良くなる。もう既にやっているとは思うが。