マネーロンダリングとは、麻薬取引や脱税などの犯罪で得た資金を偽造口座や他人の口座などに転々と移し、本来の出所を分からなくさせる行為のこと。国際組織として39の国と地域が加盟する『金融活動作業部会(FATF)』が、200以上の国・地域にマネロン対策を勧告する。8月に公表した対日審査の報告書は、日本の総合的な評価を3段階で2番目の『重点フォローアップ国』に位置づけた。
これは米国・カナダ・中国などと、同じ位置付けになると言う。先進国で、まあまあの状態であるようだ。今回の審査では、中小の金融機関による継続的な顧客管理や、法人の実質的支配者の確認が不十分であることや、マネロンを罰する法律の適用範囲が狭く、法定刑が軽い、といった点を指摘した。不正防止策の実効性をより高められるよう求められており、政府は内閣官房に省庁横断の特別チームを設置した。
これに関連し、法務省と金融庁、金融機関は2022年1月から非上場を含む株式会社に、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促す。対象は、企業の大半となる約350万社にのぼる。大企業と異なり、一部の中小企業については、経営実態が不透明な面もあった。大株主情報の収集をきっかけに、実態把握を進めていく。
法務省が1月31日から株式会社を対象に、議決権ベースで直接・間接に25%超の株式を保有する大株主の名称や保有割合、住所などの情報を書面で提出してもらう。金融機関が企業に提出を求めれば、最新の株主情報を入手出来るようになる。また全国銀行協会は会員銀行に、制度の利用を呼びかける。株主企業や個人の属性、履歴が把握しやすくなるため、マネロン対策以外の不正行為も未然に防げる可能性がある。
これらの改善は、善良なる企業やNPO法人等に対し、手間がさらにかかることになるが、庶民感覚としては脱税や悪質な節税には虫ずが走る。新型コロナウィルスの流行で、新たな『オレオレ詐欺』が増えているが、口座を厳しく監視することから、彼らの現金受領は文字通り現金だけになり、逮捕につながっている。不正は許せない。
至近な例では、日本大学の板橋病院建設に関する案件で、根拠のない裏金が動いたとする報道には、『また日大か』というイメージが強い。ある意味日大から、日大の100%出資(日大そのもの)会社に資金移転があっても、これだけで『背任』とするのには無理があるようにも思う。しかし転々と口座間を渡り歩いて個人口座に治まるのは、第三者的興味本位で眺めても、『不正だずるい』と感じる。
これがマネーロンダリングと言えるかどうか、私にはよく分からないが、いずれにしても『特定の者だけが犯罪的得をする』という構図は、許せない。これとイコールではないが、OECD加盟国では、最低法人税率を15%とする合意も出来た。タックスヘイブンと言われる国・地域に本社を移し、納税をしない企業は最悪だと思う。これらには最低15%(日本は50%近く)の課税をしようとしている。
企業はしっかり稼いできちんと納税し、残ったカネを内部留保として社内に蓄えておく。欧米の企業では、内部留保金が多い企業は株主からそっぽを向かれて株価が下がるとされているが、そんな世界的常識に惑わされることなく、私は内部留保を手厚くすべきだと思う。江戸時代から『米百俵』として、藩内に内部留保するように諭す賢人も多かった。コロナ禍で内部留保が薄い企業は、悲鳴を上げている。
ANAホールディングスが、9,000人のリストラ策を公表している。2010年JALが苦しんだように、日本の翼の一翼を担うANAホールディングス、頑張って立て直して欲しい。ANAホールディングスとJALがあってはじめて、日本の航空業界は定時運航が出来る。リストラは悲しいことだが、内部再注視で、新型コロナウィルス後の安定飛行を切に願う。
正しく納税しないマネーロンダリングから話しが大きくなりましたが、犯罪は勿論、合法でも納税しない奴らは気分的に面白くない。納税は大勢が広く薄くするべき義務で、納税なくして国や自治体は存在し得ない。私は海外居住日本人が帰国しても、『横断歩道は渡るな』と声を大きくして言いたい。