ついに『賃貸管理業務』に、法律の網がかかることになりました。これまでは任意の『管理業務登録』制度がありましたが、6月15日(火)からこれが義務化になりました。登録をしないと『管理業務』が出来ません。ただし本日から1年間は、移行期間としての猶予があり、その間に賃貸住宅管理業を営む管理戸数200戸以上の管理事業者に対し、国土交通大臣への登録義務が生じます。
200戸がなくても登録は出来ます。200戸を超えていたら、必ず登録となります。当然罰則規定も働きます。この『賃貸住宅管理業』とは、賃貸住宅のオーナーから委託を受け、「賃貸住宅の維持管理」・維持保全と併せた「賃貸住宅の家賃等の金銭管理」・「入居者対応」等を行う事業で、テナント等の営業物件は含まれません。市井で言う、「アパート・マンション・一戸建」の賃貸物件であります。
賃貸住宅管理業務は、自然発生的に社会の要望に応じて発生した業務であります。歴史的に古いと言われているのは、福岡市の三好不動産の先代・故三好勉氏が、福岡漁港から出港する友だち漁師から、「潮来一枚その下は地獄。万一のことを考えて借家を建てて、長く面倒をみてくれ」と託されたことから始まったと聞いています。今から、50~60年前の話であります。福岡港が、漁港だったという時代からです。
私が『賃貸住宅管理業務』を学んだ、北九州市の不動産中央情報センターの先代濱村和明氏も、黎明期の管理業務発展に大きく寄与した功労者でありました。氏は全国中小企業家同友会の役員をされていて、早くから『実務研修』を開講して、後進の指導に当たっていました。自然発生的に誕生した業務だけに、『自己流』が多かったのですが、40年前の不動産中央情報センターには、すでに体系的なノウハウがありました。
本日施行の法律の一番の肝は、『サブリース事業者』であっても、賃貸住宅管理業を行っている事業者も、本業登録の対象となることです。『サブリース』とは、土地所有者がA建設会社で賃貸物件を建築し、関連のB社で管理し、その物件を入居者に賃貸斡旋するケースです。A建設会社は建築請負がほしいので、『30年補償』と謳い注文をとる。しかしながら、B社での実態は2年ごとの家賃見直し等が実際行われているのです。
さらに、賃貸住宅に対する入居者ニーズも変わりつつあります。オーナー自主管理であれば、設備に故障が発生してもオーナー不在等でなかなか修理が出来ない。管理会社がついていれば、オーナーとの事前の契約で、エアコンなどは直ちに修理にかかれるのです。宅地建物取引業法での『斡旋=仲介=媒介』は、契約終了後鍵の引渡で終わりです。
その先は、『賃貸住宅管理業者』の仕事の範疇になります。比較的新しい賃貸オーナーは、管理業者に業務の依頼をします。確かに新たな費用が発生しますが、これとても費用計上できて、納税額が幾らか減額になります。私は「税務署に払うか、弊社へ払うか」と説明します。賃貸物件も、時代と共に近代化しています。システムも、近代化しないと空室物件はまだまだ増える傾向にあります。今日は記念日です。