カメラ大手のニコン(旧日本光学)は、デジタル一眼レフカメラ本体の国内生産を、年内で終了すると発表した。スマートフォンカメラの性能向上で、デジタルカメラ市場は、大幅に縮小していると言われていた。構造改革の一環として、国内で唯一カメラ本体を手がけている宮城県名取市の工場から、タイの主力工場に生産を移管する。
ニコンと言えば私が言うまでもなく、『世界のニコン』と言われるカメラメーカーで、ドイツのライカと肩を並べる。大学生の頃、三浦慶明が「海外へ持って行くならニコン。現金を盗まれても、換金して帰ってこられる」と豪語していた。この言葉に背中を押されて、私も就職してニコンのフィルムカメラを購入した。
カメラ業界は、このフィルムカメラからデジタルカメラへの移行も、『黒船騒ぎ』だったと思います。そして昨今は、スマートフォンとの戦いになっている。私もこの年になって、一眼レフの大型カメラを日常使いするわけにも行かず、10年くらいライカとパナソニックのデジタルカメラ2台を使っていましたが、今年に入って思いきってスマートフォンの『iPhone12プロ(レンズ3個)』を買い求め、それを契機にデジタルカメラを置きました。
小欄でも写真を多用するため、カメラがなくては困りますが、プロの映像画質は求めていません。と言うのも、スマートフォン(スマホ)で撮影した5MGの画像を敢えて、荒くしているのです。こうしないと、画像が重くて、『会長日記』がなかなか開かないなどのストレスになります。従って、私のカメラ使いではスマートフォンと言うことになりました。
ニコンは1948(昭和23)年にカメラを発売し、キャノンと共に業界を牽引してきました。国内では現在、関連会社の『仙台ニコン』の工場で、プロ向けの最上位機種『D6』のみを生産している。当然のようにニコンは、「海外で作っても品質水準は落ちない」と説明する。今さら海外シフトかと呆れるが、その位デジタルカメラの需要が落ち込み、回復の見込みもないのだろう。
ニコンの21年3月の連結決算は、純損益が過去最大となる344億円の赤字だった。ニコンはデジタルカメラの交換レンズの部品加工を手がける山形、福島両県の2工場の閉鎖も予定している。異業種参入も容易ではないが、私は人間ドックなどで目にする、富士フィルムホールディングスの躍進に拍手する。高性能医療機器の分野で、『FUJIFILM』のロゴが燦然と輝いている。
富士フイルムは言わずと知れたフィルムメーカー。サクラやコダックと、市場争いは熾烈を極めていた。そのフィルムがこの世からほとんど消えて、デジタルカメラの登場。このピンチにFUJIFILMは、フイルムの表面に塗布する均一の技術を医療用器具に使った。アメリカの『3M』も、使いものにならない鉱山を騙されて購入し、そこから仕方なく『紙やすり』を開発し、今に至っている。
レンズならニコン、当然異分野への展開は今も取り組んでいると思いますが、ここの強化に生きる道は必ずあると私は考えます。と言うのも最近の地デジCMで、『京セラ』が大工道具のPRを始めています。『リョービ』や『マキタ』、大手なら『HITACHI』ですかねこれまでは。稲盛和夫イズムの『前へ』と、『考えろ』はコロナ禍でもどっこい現役のようです。