米政府は2019年8月13日から華為技術(ファーウェイ)、ZTEおよび警察などの特定用無線で世界シェア1位のハイテラ(海能達通信)、監視カメラ業界で世界シェア1位のハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)、同2位のダーファ(大華)など、中国企業5社の製品を使う企業が米政府と取引することを禁じる法律を施行する。
それが対象の日本企業は800社を超え、該当する中国製品の排除が必要となる。米中対立の激化で、世界のハイテク市場の分断が加速する。中国製品への依存を強めていた日本企業の調達戦略も、修正を迫られる。7月14日付けの官報で、『国防権限法』を8月13日から実施するための暫定規則を掲載した。
『国防権限法』は、米国の国防予算の大枠を決めるために議会が毎年通す法律。2018年8月13日に成立した、19会計年度(18年10月~19年9月)は、中国に情報や技術が流出するのを防ぐため、輸出規制を強化したり対米投資の審査を厳しくしたりする対中強行攻策を多く盛り込んだ。中国への警戒感を強めている米議会が超党派の賛成で可決し、トランプ大統領が署名した。
巷で言われているように、対中国への厳しい対応はトランプ大統領の再選用のパフォーマンスだという説は誤りであります。法律は米国議会で可決され、超党派ですからたとえ大統領が民主党になっても、方針に変更はないのです。暫く様子を見ていたら、別の風が吹くと安易に考えていたら、取り返しのきかない崖淵まで追い込まれる。
米政府は来月13日以降、これらの製品やサービスを使う企業とは、契約を新たに結んだり更新したりしない。中国政府に、機密情報が流れるのを警戒するためだ。企業は、『米政府か中国企業か』の二者択一を迫られる。米政府と取引する企業は、該当企業の製品やサービスを使っていないと証明書を出す必要がある。これには、莫大な金がかかる。
虚偽を報告した場合は、民事・刑事罰もあり得る。日本企業への影響は、限りなく大きい。米政府によると、19会計年度の日本企業向け取引額は、約15億ドル(約1600億円)。案件数も約1万1千件に及ぶ。対象は政府と直接契約する米国法人や、在日米軍と取引する日本企業だ。その数、800社を超える。
例えば、対象企業の製品を海外で一部使用しているNTTは、8月の法律施行までに他社製品に変更し、今後も使う予定はないという。ソフトバンクは現行の4Gの通信ネットワークの一部で、華為技術(ファーウェイ)やZTEなど中国企業の通信機器を導入しており、他国の製品への切り替えを進めている。
この転換は大企業だけではない。中小企業でも、関係しているところは大なり小なりの影響をうけるだろう。新型コロナウィルスの次は豪雨被害、そして米中対立の余波、今年はどうなっているのだろうか。また台風被害も心配される。『Go to travel』どころじゃないと思うが。