今年は「庚子(かのえね)」、皇紀2680年仏暦2563年、西暦2020年そして令和2年。更にこだわる人は、明治152年・大正109年・昭和95年・平成32年とか。自慢するわけではありませんが、過日今年初めての売買契約がありました。正月早々の契約は、今年一年の計を占うに際してわれわれには慶事であります。
さてその契約ですが、高松市内にある築後42年の中古住宅であります。土地の広さは約100坪余、建物は約60坪(8DKの2階建て)ありますが、前面道路が市道ですが幅員2.5m。再新築は出来ますが、中心より2メートルの道路後退があります。従ってその分だけ敷地面積が減るわけですが、余裕の100坪です。全く意に介していません。
所有者は、相続を受けた3老姉妹、個人情報に触れるわけにはいかないモノで、60歳代の3人としておきます。各人3分の1の共有であります。抵当権などの所有権移転を妨げる権利は、ついていません。なかなか売れずに、半ば諦めていたようでした。解体を視野に入れて、解体費を見込んで値付けをしています。
一方買主は4代に渡り7人の大家族、さらに落ち着いたら旦那様の両親も同居するという大所帯であります。建物は古いのですが、部屋が多くて、同居するにしてもさほど不便がありません。高齢者の方は、若者のように文句は言いません。一緒に生活できることに、感謝していると言います。
居住者の兄が伊勢志摩にいるからと、真珠のようなお土産を売主へ渡していました。まれにお土産交換というシーンはありますが、このような菓子以外のモノは、ほとんど目にしたことがありません。高いものではないにしろ、感謝の気持ちを家族みんなでカタチにしています。私にはありませんでしたが、自分が頂いたような錯覚を覚えました。
買主(名義は夫と妻の母親)は、「自分たちは貧乏で、本当に安くして下さってありがとうございました」と屈託のない笑顔で、貧乏と言いながら全く苦にしていないそぶり。そして自分たちで漆喰を塗ったり、畳をフローリングにリフォームすると大変喜んでいました。この席の親子女3代の顔もそっくりで、2歳の女の子もおとなしく1時間耐えていました。
私も39年間宅建業(不動産業)を営んでいますが、価額が600万円で、売主と買主がこんなに喜んで下さった案件は初めてでした。売主は両親が新築した古家を解体しないで使って下さるので有り難いと喜び、買主は広い土地の物件でブロック塀をのけたら、道路沿いにクルマが数台置けると大変な喜びようでした。
こんなにも双方が喜ぶ契約の仲介(法律は媒介)が出来たことに、私たちスタッフも仕事冥利に尽きる極楽でした。何事に連れても「考え方」一つと言いますが、まさに琴線に触れる仕事が出来ました。春から慶事。