今月9日、第一刷で上梓された標題の問題本。「歴史」や「国語」の授業にとどまらず、「道徳」「音楽」まで及ぶ反日教育。今の韓国の小学生たちを見た時、日本に対して反感や憎しみを持っていることが多い。その中には、何らかの体験や事件を通して反日の睡眠から目覚める者もいるが、多くは日本に対する反感を持ったまま成長し大人になる。
もし、その人が日本人から被害を受けたり、日本旅行で嫌な思いをしたため日本に対する反感を持つようになったというなら、それは十分理解できる。しかし、残念なことは多くの場合、日本や日本人との接触、つまり「直接体験」ではなく、教育と伝聞による「間接体験」だけで反日感情を抱いているということだ。その間接体験の代表的なモノが、「教育」と「言論報道」だが、この本では「教育」に焦点を当てている。
韓国の学生の半分以上が、日本人の独創性が乏しいと思っている。これはおそらく、高句麗、百済、新羅からの文化を伝授された日本、朝鮮通信使たちに文化を学んだ日本と言うことを繰り返し教えられてきたことと関係があるのだろう。島国である日本には、独自の文化というモノがなく、過去には大陸と半島から、現代では西洋から入ってきた文化を取り入れ、発展させただけだと考えている。
韓国民に自国の優越性を誇る、あるいは他国を見下すような感覚がなければ、「日本人は創造性が乏しい」という発想はなかなか出てこないのではないだろうか。著者の崔碩栄(チェ・ソギョン)氏は、1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で、教育学修士号を取得。日本と韓国の橋渡しの仕事とは別に、フリーライターとして著書が多い。
著者は、先のような先入観を持つ韓国の学生たちに同情するという。彼らが持っている認識は、世界の人が持っている認識とは異なった「韓国人だけ」が持つ認識だから。2012年の調査では、米国、英国、ドイツ、フランス、日本で、「世界で最も独創的(Creative)な国」として日本(36%)を挙げた。日本人は自国よりも米国をより創造的な国だと評価した。その米国は、2位(26%)だった。
日韓関係の楽観論者たちには申し訳ないが、謝罪と賠償よりも大切なのは、「憎悪」を消していくことではないだろうか。私(崔碩栄)は、何も「日本のため」だけに、このような主張をするわけではない。「教育」という名の「韓国人化」課程に縛り付けられ、憎しみのタネをその心に植え付けられ、それを必死になって育て続けられている韓国の子どもたちのために、最も必要なことだと考えているからだ。
私(崔碩栄)は韓国人として、彼らに、より自由で広い視野を持ち、本当の意味での平和について考えられる大人になって欲しいと願っている。そして日本や日本人にお願いしたいのは、ニュースなどに映る韓国社会が、反日感情を激しく爆発させていたとしても、国民性がどうだとか、民族性がどうだとか、そんな単純な評価で片付けてしまわないでもらえないか、ということであります。
韓国で韓国人として生まれ育った彼らの行動は、本人の意思とは全く関係のない後天的な刺激としての「教育」を受けた結果の一部である。勿論それだけがすべての原因ではない。だが、この後天的刺激を別の形に替えたなら、韓国人の対日観が変わる可能性も高いだろう。そんな積み重ねがいつか、日韓関係を負のスパイラルから脱却させ、韓国から反日感情を消し去ってくれることを願ってやまない。