6月3日(月)の四国新聞第一面の標題記事に、思わず釘付けになった。先にも前触れをした、アメリカ合衆国第31代フーバー大統領が上梓した、「裏切られた自由」に書かれていることが、この記事にかぶさる。今、「裏切られた自由」を読んだまとめをしているところだが、膨大なページのために、なかなか小欄に掲載するまでに至っていない。
第2次大戦末期にソ連が占有した北方領土などについて、日本が連合国と結んだサンフランシスコ平和条約で、ソ連の主権が明記されておらず、領有を主張する上で弱点になるとソ連指導部が認識していて、対日交渉で主権確認を求める方針を決めていたことが2日、機密指定が解除されたソ連の文章で判明した。
日ロ関係筋によると、継承国ロシアが四島のロシア主権確認を執拗に迫る背景には、国際条約で帰属が確定していないとの懸念があるようだ。この記事を配信している共同通信は、ソ連共産党中央委員会幹部会が1955年6月の日ソ交渉開始直前に承認した対処方法など、重要文書を入手した。つまり共同通信の、大スクープというわけだ。
当時のモロトフ外相らが党中央委に提出した文章は、日本領だったサハリン南部やクリール諸島(北方四島と千島列島)について、45年のヤルタ協定で「ソ連に移った」とし、51年のサンフランシスコ平和条約で、「日本が権利を放棄した」と指摘している。しかし、同条約には「日本が誰に対して放棄するのかが書かれていない」と問題視。ソ連に返還させるとしたヤルタ協定上の米英の義務と、矛盾していると批判した。
先の「裏切られた自由」では、ソ連の参戦を急がす意味で、米英がソ連に領有権をプレゼントしたように書かれている。自分のものでもない領土を第3国へ提供するというのも超法規的解決策だが、戦争という名を借りた暴力のように私には見える。いずれにしても、法的に日本の領土だと確定しても、状況は変わらないだろう。
同条約について、ロシアは四島領有の法的根拠の一つに挙げてきた。日本は、「ソ連は署名しておらず、条約上の権利を主張できない」としている。さらに北方領土は、日本が放棄したクリール諸島に含まれないとしてきた。
日ソ両国は56年10月、戦争状態の終結と国交回復、平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の2島引渡しを明記した日ソ共同宣言に署名した。安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領は昨年11月、同宣言にもとづく平和条約交渉に臨んだが、安倍晋三首相が2020東京オリンピック誘致にプーチン大統領が協力したのにも拘わらず、北方領土の領有でプーチン大統領に恥をかかせたと、ロシア外相が騒いだ。
いずれの事実があからさまになろうが、ロシアは北方領土の領有権を譲らない。これまでのソ連・ロシア(帝国)の歴史が、それを物語っている。どうせ帰らないのなら、馬鹿な国会議員が言うように戦争をするわけにはいかず、2島返還、もしくは4島返還がならずとも、4島の共同開発の道を探った方が得策だと思うが。
外交は、自国の価値観や常識論を展開しても始まらない。歴史をよく学び、相手国の常識を基準に交渉することだ。日本という国は、つぎはぎもあるかも知れないが皇紀(日本の紀元を、日本書紀に記す神武天皇即位の年(西暦紀元前660年に当たる)を元年として1872年(明治5)に定めたもの)2679年の歴史を誇る。こんな国はない。従って日本人の常識は、世界の非常識ぐらいに考えて交渉に当たったらどうですか。