5月27日(月)の日経新聞朝刊トップは、標題の記事でした。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、仏ルノーに対して経営統合提案することが26日明らかになった。記事を拾い読みしても、もの凄い次世代車の世界が登場しそうだ。実現すれば、世界首位の企業連合になる。連合が凄いのではなく、行く末が見えないところへ突き進まざるを得ないところが凄いというか恐怖を感じる。
現在の自動車生産1位は、独フォルクスワーゲン1,083万台だが、統合が成功すれば、現在2位の、ルノー+日産+三菱自1,075万台と8位の欧米FCA484万台合計の1,559万台となり、首位に躍り出る。米中欧など、主な市場で強みを持つ企業が手を組むことで、自動運転や電動化など次世代技術でも主導権を握る狙いがある。
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、1899年設立の伊フィアットと1925年設立の米クライスラーを源流とする。2014年に、フィアットがクライスラーを完全小会社化して誕生した。オランダに本社を置き、「フィアット」「ジープ」「アルファロメオ」などの車種を持つ。
一方ルノーは、1898年に前身企業が生まれ、1945年に国有化された。96年の民営化を経て99年に日産自動車に資本参加した。当時副会長だったカルロス・ゴーンを日産に送り込みV字回復させ、両社間の連携を深めた。現在は日産に43.4%を出資する一方、仏政府と日産がルノー株を15%ずつ保有している。
FCAはルノー・日産連合が弱い高級車分野で、「マセラティ」や「アルファロメオ」といったブランドを抱えるほか、「ジープ」ブランドなどが強い北米が収益源となっている。欧州への依存度が高い、ルノーとの補完関係が見込まれる。また関心の高い自動運転分野では、米アルファベット系のウェイモと提携している。
統合を機に1500万台の連合が実現すれば、自動運転や電動化で巨大IT(情報技術)企業などとの連携を、有利に進められるという思惑がある。自動車業界は100年に一度と呼ばれる変革期を迎えていて、米IT(情報技術)大手など豊富な資金を持つ異業種も参入して来ている。生き残りをかけた、経営資源を結集させる規模拡大が必要との判断がされたようだ。
FCAには、2つの面で効率化を目指す狙いがある。まずは足元の収益体質強化だ。もう一つは、電動化や自動運転など「CASE」と呼ばれる次世代技術の開発だ。開発分野は多岐に渡り、巨額の資金が必要になる。連携先を増やし投資の重複を避ける動きは、自動車業界全体に広がっている。
私などクルマはタイヤが4本着いていれば十分だと考えているが、このところ身の回りでも「高級外車」の話題が多く聞かれる。ベンツだのポルシェ、私はこの二つぐらいしか高級外車を知らないが、話を聞いていると自己満足の他に「投資」として考えているフシが見うけられる。高級外車といっても所詮はクルマ、それが大化けするとも考えられないのだが、100年に一度の大変革期にはあるのかなとは私も思う。
ではルノーとFCAの経営統合は、ルノーと日仏連合を形成している日産自動車と三菱自動車にも影響が及ぶ。規模拡大による効率化は、日本勢にもメリットになる。FCAと日産が力を入れる米国での事業が具体的な連携対象になりそうだ。競争と強調のバランスを取る難しさもあるが、一定のメリットは期待できるようだ。