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続・明治維新という過ち3部作
このところ時間を要したが、原田伊織氏が上梓した「続・明治維新という過ち」3部作を完読した。もっとも3部作とは、私がそう感じて言っているだけであります。まず「日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」、第2作が「列強の侵略を防いだ幕臣たち」。そして第3作が、「虚像の西郷隆盛虚構の明治150年」。いずれも、「明治維新から150年」、何がめでたいのかと、原田伊織氏も言う。

これまでわれわれ日本人は、明治維新を成し遂げてから今日の繁栄があるように歴史を刷り込まれてきた。尊皇対佐幕、攘夷派対開国派というように単純な二極対立の図式で語られ、守旧派の佐幕派を尊王攘夷派が打ち破ることによって、日本に開明的な新時代をもたらしたと刷り込まれてきたこれまでの幕末史が、如何に史実とかけ離れ、時に歴史を冒涜するものであるかが、ようやく理解されつつあると感じている。

わが国の、特に敗戦後の日本人の思考とは実に短絡的、近視眼的に見受けられ、歴史を考える上でも長い時間軸を引くことができず、幕末動乱の実相も長い時間軸の上に乗せて検証されるということがなかった。ところが、幕府崩壊から百五十年経って、ようやく薩長史観とも言うべき「明治維新絶対主義」に対する見直しの気運が高まっている。

ところが安倍政権は、首相自らが長州出身であることも手伝って、「明治百五十年キャンペーン」に躍起となっており、「明治維新至上主義」に凝り固まるその頑固な姿勢は、「昭和維新」運動を彷彿とさせ、危険極まりない匂いを発しているはずであるが、確固としたとした歴史認識を持っていないせいか、どこか滑稽にさえ映る。

たかだか百五十年前の薩摩長州による軍事クーデターを「明治維新」と呼ぶならば、「明治維新」という過ちを犯したことがその後の国家運営を誤り、今日に至るもなお国家としての課題を解決する方向観すら見いだせずに、国際的な対応において常に占領国アメリカを基準とするだけで、自立した民族国家になり得ないままでいるという結果をもたらしたように見受けられる。

阿部正弘、堀田正睦(ほったまさよし)、井伊直弼政権が敢然と対外協調路線に踏み切り、川路聖謨(かわじとしあきら)、水野忠徳、岩瀬忠震(いわせただなり)、井上清直、小栗忠順(おぐりただまさ)といった英傑と言ってもいい優秀な徳川幕臣テクノクラートが、その知力と人間力というものを武器に欧米列強と正面から渡り合い、時の孝明天皇が夷人嫌いでありながらも、幕府に対する「大政委任」という政治上の大原則を一貫して崩さず、薩長を中心とした尊攘激派、いわゆるテロリストが喚く「復古主義」を忌み嫌ったことが、この国が二元政治に陥ることをかろうじて防ぎ、それによって、幕末日本は欧米列強の侵略を防いだとみることが出来る。

こんな内容が、「列強の侵略を防いだ幕臣たち」の中で、原田伊織氏が力説していることだ。私はこれまで、幕臣が馬鹿だから討幕運動に一気呵成に進んだように考えていたが、一般的に言われている明治維新は、単純な国内クーデターというより、外国諸国(イギリス・フランス・オランダ・ポルトガル・スペイン、そしてアメリカ=アメリカは南北戦争が勃発)の動きに呼応したものと言えると思う。この3冊には、仰天させられた。

最後のとどめであるが、寛永6(1853)年、黒船(ペリー)が来航して日本は開国したことになっているが、18世紀末から19世紀にかけて、アメリカ船がオランダ国旗を掲げて出島に来港し、交易を行っている。これはオランダも了解した上での日米交易である。つまり、実質的な日米交易は、幕末時点で既に100年ほどの実績を持っていたことになる。

天保13(1842=人は世に問う)年老中首座阿部正弘は、遭難した外国船に対して飲料水や燃料の給与を認める「薪水(しんすい)給与令」を発令した。ペリー艦隊来航の11年前のことである。これは文政8(1825)年の「異国船打払令」を否定し、対外政策を180度転換したことを意味し、その点で実質的な開国と看做すことも出来る。


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| 社長日記 | 07:28 AM | comments (0) | trackback (0) |

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