小欄で過日紹介した『借耕牛(かりこうし)』が、映画化されていると四国新聞で報道されています。農繁期に徳島県西部から香川県の農家に農耕用の牛が貸し出されていた慣習、『借耕牛』を題材にした長編映画の製作が進んでいるようです。映画タイトルは『黒の牛』、池田高校元野球部監督・蔦文也氏の孫、蔦哲一朗さん(37)=東京都在住=がメガホンをとる。
人と牛が共に田畑を耕しながら、自然とのつながりを取り戻そうとする物語で、『本当の豊かさ』を問いかけている。県内では三豊市や観音寺市でもロケを行い、来秋以降に劇場公開を予定しているようだ。両市では今月上旬に撮影が始まり、三豊市では同中旬に市が募集したエキストラ約100人が出演する大がかりなロケを予定している。そもそもの香川県入口は、まんのう町だと聞きました。宿場町を形成していたほどの賑わいだったようです。
山下昭史市長は民間出身(KSB瀬戸内海放送)で、特にイベントには精力的だ。良いではないですか、やってみてたら『父母ヶ浜』のような新しい観光地の発掘につながる。あれは旧高瀬町観光協会職員の石井紫(ゆかり)さんが、発案したモノと聞いている。昨今は、市営トイレまで整備されて、本格的観光施設の一つとなって多くの観光客を呼んでいる。
『黒の牛』は、明治期の徳島県西部を舞台に、山間部に暮らす1人の男性と1頭の牛が過ごす日々を主にモノクロ映像で描く。主演は、台湾を拠点に世界的に活躍する俳優・李康生(リーカンジョン)さん。作品で重要な役どころの禅僧を、世界的ダンサーで俳優の田中泯さんが演じる。『黒の牛』製作に当たっては、借耕牛を約30年間調査研究し、著書『あわ/さぬき 借耕牛探訪記』を今年出版した高松市のデザイナー冨田紀久子さん(77)に話を聞くなどして構想を固めたという。
蔦哲一朗さんは、「人と牛が、大地とともに心を耕し、仏教的な”無”に至る映画。言語を超えて、肉体で牛と語り合い、一つになっていく姿をフイルムに収められるのが楽しみ」とコメントしている。監督は、『祖谷物語-おくのひと(2013年)』で数多くの映画賞を受賞している。徳島県立池田高校野球部の監督として、春夏3度の甲子園制覇を遂げた祖父故蔦文也さんのドキュメンタリー映画『蔦監督-高校野球を変えた男の真実-』でも、話題を集めている注目監督。
あわさぬきの物語の主人公が中国人(台湾)というのも残念だが、太古からのことを考えたら、日本人も中国人韓国人もあるまい。技術経済産業とグローバル化していて、追いついていないのが『人間関係』かもしれない。オイスカの事務局員の崔榮晋さんも、韓国人だが期待以上の効果をもたらしてくれています。つながる機会を作ることが、まず大切ではないだろうか。