2022,05,09, Monday
国土交通省は、土地や建物を固有の番号で特定する『不動産ID』のルールを作った。マンションは部屋単位、商業ビルはフロアごとに識別出来るのが特徴。国土交通省は、関連情報のデータベース化や物件管理をしやすくなると説明、不動産事業者などに活用を促していくという。将来はインフラ、物流業界などでも活用出来ると想定している。
土地建物の住所は『1丁目1番1号』や『1の1の1』など表記が不統一で、登記簿上の地番も同じ番号に複数の建物が存在するなど、従来は物件の検索、特定に時間がかかるケースがあった。具体的には、登記制度で土地、建物に割り振られている13桁の『不動産番号』の後に、部屋番号や階数を示す4桁の特定コードを付加するようだ。 賃貸マンション、商業ビルなどは不動産番号が1棟全体で1つすでに存在しているが、特定コードで部屋まで識別することが出来るようになる。果たしてこれを何に使うのかがハッキリしていないが、コードの振り方は国土交通省がルールを定めており、これに従えば物件のIDが自動的に決まる。国がデーターベースを整備して一元的に管理することはしないと言うが、これは怪しい。 と言うのも国土交通省は、アメリカの不動産流通システムの日本導入をかなり前(30年以上前から)考えているフシがある。アメリカでは不動産物件ごとにIDがふられて、購入価格から固定資産税等々、およそ日本では表面化しないと思われる個人情報がオープンになっている。確定申告や銀行借入金まで一気通貫に分かれば、相続税の捕捉も一目瞭然。銀行口座同様に、沢山あると思われている不動産も一つ一つを精査していけば、データベース化は簡単だ。 国が手間暇かけて作業領域を拡大するのに、ましてや法務省管轄の登記制度に変更を加えるのに、「特段の目的はないのだが手伝ってくれ」とは言えまい。国土交通省は、IDを使えば、不動産関連企業は物件管理を効率化でき、過去の成約価格やリフォーム工事履歴を集約したデータベースを構築しやすくなると喧伝する。私も見てきたが、先のアメリカの不動産流通システムを彷彿とさせる。 IDで同じ物件かどうか峻別可能になれば、賃貸物件情報サイトの重複掲載も防げると言うが、それがどのくらいのメリットになるのか、手間が多くて利が少ない結果にならなければ良いのだが。いずれにしても、不動産をとりまく環境のIT・デジタル化が、ますます進んでいるように感じています。日本の常識が世界の非常識であるという考え方も、同時に押し寄せてくると危惧しています。 |