タイトルの『す々め』は、読みづらいしPC(コンピュータ) 変換で直ぐに出てこない。著者は意味を込めているのだろうが、私は素直に『すすめ』で良いのではないかと思います。文中でも例えば、『良い』も『善い』との区別を解説していましたが、氏の思いはあるのでしょうが、私にはうどん屋さんに用意している『割り箸』と、『備えつけ箸』の差ぐらいで、講釈を言えば多少は違うかなと言う程度の違いとしか言いようがないことです。
タイトルの『絆徳経営(ばんとくけいえい)』とは、日立、日立金属、日産自動車、日本テレビ、日本水産、日本ビクターなど1万社以上の企業の創業発展、支援育成にかかわり、しかも自らは「お金も要らない、名誉も要らない」と語った伝説の経営者、鮎川義介氏の唱えた経営哲学を現代的に実践出来るようにしたもの。と言うことは、絆徳経営の祖は鮎川義介氏で、清水康一朗氏が伝承者のようです。
「100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか」表紙に書かれた投げかけですが、絆徳経営とは、広く知られた言い方で言うなら『三方よし経営』のように思いました。ビジネス環境の変化に対応して経営合理性を高めるためにも、「よいことに」に目を向けて理念を達成するためにも、知識や教養はつねにグレードアップしておきたいモノです。具体的に何を学べばよいかといえば、今の時代なら『話す、つながる、SNS』が経営者の必須スキルといえるでしょう。
そうなのです、考え方は『利他の精神』でその表現方法は、SNS(交流サイト)つまりフェースブックFacebookやツイッター、インスタグラムなどを介して自らの主張をし、それが社会に受け入れられるモノであれば、ビジネスは成功するし、今後も将来にわたって富を生むように書かれています。
私は清水康一朗氏が主催する、日本最大級のビジネスセミナー情報サイト『セミナーズ』も存じ上げませんが、ギリシャ哲学、インド哲学、東洋思想などを探求し、西洋と東洋を融合した和魂洋才の経営哲学を確立したと説明されています。昨今は、特にSNS(交流サイト)を介しての情報発信が、花盛りであります。
正直なところ、この本から得るモノはほとんどなかったのですが、『三方よし』経営では、私は稲盛和夫塾長の提唱する『心を高める、経営を伸ばす』が分かりやすく、今でも学び続けています。盛和塾は2019年の年末に解散し、今は京都の本部もありません。しかし全国の塾は、例えば香川であれば『香川胆識の会』として新たに発足した受け皿で、学びを続けています。経営者はその在籍中は、学び続ける使命を帯びています。
私にとって身近な学びは、『盛和塾機関誌マラソン』です。過去に送られてきた機関誌を読み直して、感じたところをグループ内メンバーに送り合うシステムで動いています。再び読み直すところに、エキスがあって、その時の悩み、決断に随分役立っています。贔屓のひきだおれと言う言葉があって、盛和塾を知らない人たちから見ると、馬鹿な集団のように映っているかも知れません。
この『絆徳経営のす々め』もよかったですが、稲盛和夫の『考え方』『生き方』『実学』などもお薦めします。特に『稲盛和夫の実学』は、PL(損益計算書)とBS(貸借対照表)について、経営者が当然知っておくべき数字についても、経理担当や会計士と違う経営者の立場から解説しています。専門書のように難解なモノではありません。コロナ下で、悶々としていて時間があれば、是非読んでみて下さい。お薦めします。