2022,02,09, Wednesday
持ち家を売った後、賃借で同じように住み続けることが出来る『リースバック』の契約利用が増えているという。引っ越さず老後のまとまった資金が得られる反面、家賃や売却価格の設定を巡るトラブルも目立つ。国土交通省は、仕組みの認知度が低く、理解が不十分なまま契約されているケースがあるとみており、今春までに注意点をまとめたガイドブックを作る方針だ。
リースバックは、子どもの独立などでコンパクトな新居に移る際や、老人ホーム入居の費用に売却資金を充てつつ、(売却後の)仮住まいを確保出来る。相続前に不動産を現金化したり、老後の余裕資金を手に入れたりするニーズもある。国土交通省によると、大手不動産9社のアンケートでは、取引件数は16年の266件から18年には920件に増えている。その後テレビCMも効いて、延び続けているという。 トラブルも散見される。契約で賃借出来る期間が限定されたり、途中で家賃値上げを求められることもあるという。物件の買取金額は、通常の売却に比べて低い傾向にあり、長く住み続ける(長生きをすると言うこと)と、当然のことだが支払家賃の合計が売却額を上回ることがある。無断でリフォームは出来なくなり、設備故障の修理代は特約で入居者負担になっているケースもある。 私はこの制度が世に出た頃から、『都会仕様に限定』と考えていた。ところが昨今は、拙宅のテレビにも『リースバック』のCMが流れている。お叱りを覚悟で言うなら、「田舎の豪邸では対象にならない」と言わざるを得ない。極端に申せば、都下23区内の100坪ぐらいある敷地に建っている居宅に限定と言ったら分かりやすいだろうか。 その不動産(土地+建物)の評価額が仮に1億円であれば、買取業者が5000万円の価格で買い取れば、5000万円の余剰金が発生する。これだと仮にその後20年間居住しても、30万円×12カ月×20年=7,200万円で、受取家賃10万円×12カ月×20年=2,400万円としても買取業者の採算が合うことになります。どちらか夫婦の一方がさらに長生きしたら、この方程式も成り立たなくなる。だからトラブル化している。 これだけ説明すれば、高松では成り立たないことが理解されると思います。一番のリスクは、「何年生きるか」誰も分からないと言うことです。「早く死んだら儲けになる」という公式で世の中が運営されたら、たまったモノではない。都会の一部の邸宅では成り立つシステムを、全国的に広報するのは、営業の自由と言っても罪深いのではないだろうか。 元ヤクルトスワローズの古田敦也選手を私は尊敬していたが、引退後の生き様も、その人の評価になる。野球を離れても、人望があるからCMに起用される。であるならば、心して出演しないと晩節を汚すことになりかねない。古田敦也氏が悪くない、テレビCMの会社は悪くない。考えが浅かった自分が悪かったと思える人ばかりであれば、私の心配は取り越し苦労に終わるのだが。 |